敏感の彼方に

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【塾なし中学受験】マジメだけど地頭フツーの小学生の物語(+おやじ)

 

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さてさて、塾なしで偏差値60超の公立中高一貫校に挑戦する小6のムスメSの学習スケジュールや勉強の様子、学校や模試の成績などをシリーズで記録してきましたが、最後は、「総集編」として合格/不合格の結果をお伝えします。

 

結果は・・・不合格

合格発表の中にムスメSの受検番号はなく、補欠合格(繰り上げ合格)の連絡も特にありませんでしたので、残念ながら「不合格」という結果になりました。

 

もちろんボクは、陰ながら1~2日ほど落ち込みました。ムスメSが受検勉強に取り組み始めた2年前、本格的に取り組み始めた5ヵ月前、本気モードになった1ヵ月前からの様子を近くでつぶさに見てきただけに、彼女なりの頑張りに結果を添えてあげられなかった自分の力不足から、ムスメSにかける言葉がなかなか見つかりませんでした。

 

ただ、「大事なのはプロセスで、結果はおまけ」と言い続けてきた以上、結果に一喜一憂する姿など、あまり見せられません。なので、なるべく平静を装いつつ、内面からも悔いの念がにじみ出ることのないように、気持ちも早々と切り替えるように努めました。

 

結果はどうあれ、時に楽しく時に苦しい道のりをムスメSとともに歩めた経験と思い出は、ボクの一生の宝物になりましたし、勉強したことはムスメSの血肉となって、彼女を一生サポートしてくれる武器になるでしょう。気恥ずかしくて直接は言えませんが、「一緒に頑張ってくれてありがとう」と、ここに書き残しておきます。

 

不合格の原因分析

不合格の原因はいくつかあるでしょうが、一番は「力を出し切れない」に尽きると思います。そう思うのには、以下のような理由があります。

 

国語は、茂木健一郎氏の『挑戦する脳』から出題されましたが、茂木氏の著書は中学入試でよく取り上げられることを知っていたため、出題と同じ部分をムスメSにも読ませたことがあります(!)。算数は、割合・速度・プログラミング思考が予想通り出題され、ムスメSが得意とする図形の問題も大問2つを占めました。理科は、過去の傾向から「天体が絶対に出る!」と予想していたら、やはり出題されました。正直、ムスメSに有利な条件はそろっていたのです。それでも合格に達しないのは、実力を出し切れなかったんだろうと想像できます。

 

また、自己採点の結果、検査Ⅰ(国語)→ 検査Ⅱ(算数)→ 検査Ⅲ(理科・社会)と尻上がりに点数が伸びていることが分かりました。これは、模試や自宅で取り組んだ過去問とは逆の傾向です。また、帰宅してからその日のことを聞いてみると、検査Ⅱあたりまでのことは回答以外ほとんど記憶していないのに、午後の面接の前に気付いたこと(周りの子の服装、ある先生がしていた変わった指輪、先生の顔の特徴、etc.)はたくさん記憶していて話してくれました。やはり最初は緊張して、自分も周りも見えていなかったんだろうと想像できます。

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そして、このような状況でも実力を発揮するには、「絶対に受かってやる」「受かるに決まっている」という強い気持ちや自信を持っているかどうかです。もちろん、「受かりたい」という気持ちはあったでしょうが、緊張を凌駕するほどには強度を保てなかったのかなと思います。ただ、その点は、想定内と言えば想定内です。折を見ては、受検の位置付けや合格した場合の進路など、いろんなことをムスメSには伝えてきました。それを聞いた上で強い気持ちを持てるかどうかは、それこそ彼女の「自主性」なり「向き不向き」であり、親が無理に背中を押すよりも、与えられた情報の中で自分の気持ちの落ち着く先を見つけて欲しいと願っていたため、現時点では、ここがムスメSの着地点なんだと納得しています(少なくともボクは)。

 

もちろん、これら以外にも原因は多々あるでしょう。緊張を抑える工夫はほかにもあったでしょうし、もっと勉強を重ねておけば結果は違ったでしょうし、ボクの教え方や接し方にも改善点はいくらでもあると思います。とは言え、それらすべてをひっくるめて、合格/不合格は「縁のもの」だと強く感じる今日この頃です。

 

「塾なし」の意義

ムスメSの小学校から受検した子は、他の公立中高一貫校も含めて5~10人前後おり、そのうち合格は1人のようです。受検倍率が5~6倍に達する地域ですから、その倍率通りの結果といえます。ムスメS以外は全員、通塾していたものと思われます。

 

大手進学塾の合格実績を見て、そこから推定される合格率は、おそらく30%前後でしょう。つまり、塾に通っていても、合格できるのは3~4人に1人程度と推察できます。

 

もちろん、塾に通えば合格の可能性は高くなるのでしょうが、この受検倍率では、余程の地頭でもない限り「運」の領域から脱するのは容易ではないな、と感じます。ムスメSも、通知表は3段階評価でオール3をもらっていますし、学校のテストも難なくこなしているのですが、それは「地頭」ではなく「真面目」だからです。マジメな人間の努力で動かせる「運」の幅は、思った以上に小さいということです。逆に、地頭の良い子なら、塾に行かなくても合格できる可能性は高いと思います(特に、公立中高一貫校の場合)。地頭の良さで、問題が解けることはもちろん、緊張や不慣れなどに起因する減点分もカバーできてしまうからです。

 

このように考えると、合格至上主義ではない我が家の場合、塾なしで夢を見られる程度には挑戦できたことから、結果的には悪くなかったのかなと思います(などと、無理に正当化しようとしている自分に気付いてしまっていますが・・・( ゚Д゚) )。カエルの子はカエルってことで、親子ガエルのちょっとした物語ができました。

 

塾に通っていたら、緊張や不慣れによる減点をもう少し抑えられたかもしれません。塾に通っていれば、もっと体系的に実力を磨けていたかもしれません。そういう「たら・れば」論が尽きることはありませんが、それも結果は誰にも分かりません。そんなことよりも、井の中のカエルが井戸の外の世界に触れてみて、運と実力の境界がどこにあるのかを感じてみたり、何かをつかみ取るには自分の意志が前提であることを悟ってみたり、といったことを、ほぼ「無料」で経験できる良い機会となりました。

 

ただ、マジメな人間の努力で動かせる「運」の幅が小さいという事実は、現代の世界を覆う格差問題に通じることですので、素通りするのはもったいないですね。頭脳にしろ身体にしろ環境にしろ、運に恵まれた人間は、それだけ社会に還元する責任も負っているだろう、と思う今日この頃です。余談ですが。

 

ムスメSの様子

合格発表の後2~3日は、周囲から結果を聞かれたり、同じ学校から少なくとも1人は合格している事実を知ったり、落ち着かない日々を送っていました。気分の浮き沈みがあり、自分の気持ちのやり場に困っている様子がうかがえました。不合格という事実を突きつけられて初めて、「もっとやっておけば良かった」という気持ちが湧き起こり、その後悔の念に押しつぶされそうになっていたかもしれません。

 

そんな様子もありましたが、ムスメS自身が元々計画していたようで、合格発表の翌々日には、2/18(火)の校内持久走大会に向けて、自ら朝食前に近所を走り始めました。小2の弟もつられて走っています。ボクも、安全確認を兼ねて、一緒に軽く走っています。

 

そうやって挫折や悔しさを汗に流しながら、もはや受検は遠い過去の出来事のように、毎日を笑いながら過ごしています。自身の結果に自らケリをつけ、次に用意された運命に向かって力強く進んでくれる姿を見て、親としては救われる思いがします。

 

汗で流したとしても、挫折や後悔が完全に消えて無くなることはないでしょう。いつか、そんな挫折や後悔をポジティブに前向きな力へと変えることができたなら、その時はじめて、今回の「塾なし受験」を成功として振り返ってみることにしましょう。

 

 

 

あとがき

バックアップしてくれたツマに感謝。自分も高校受験中なのに、妹をいつも励ましてくれたムスメAに感謝。姉を気遣い、忙しいボクを気遣い、自分で自分を完結させる術を身に付けてくれたムスコNに感謝。ムスメSをいつも癒してくれた文鳥の「オモチ」に感謝。その他、すべての人に感謝。総力戦でした。

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追記

「塾なし」で完走できたおかげで、塾に掛ける費用を、ほかのことに回す余裕ができました。自分にとっては、「いつか余裕ができたときに」と思い描いていた夢の続きです。背負うモノが増えるほどやる気が湧いてくる性格なんです。HSS型HSPの特徴でしょうか。

 

PLAN INTERNATIONAL という国際NGO を通じて、海外の2人の子ども(男女1人ずつ)に毎月3000円ずつ、寄付をすることになりました。家庭や地域の環境に恵まれない子どもに、仕送りをするようなものです。ツマの理解もあってのことです。早速、カンボジアの10歳の男の子と、エチオピアの8歳の女の子に行き先が決まりました。

寄付 プラン PLAN 仕送り

 

最初に思い立ったのは海の向こうへの寄付ですが、海外だけに目を向けるのもおかしな話なので、国内でも寄付を申し込みました。NPO法人「カタリバ」です。こちらは、毎月5000円ずつの寄付となります。

カタリバ 寄付 仕送り 受験

 

教育は大切です。貧困から抜け出せる確率が最も高い手段だと思っています。誰もが自由に無料で教育にアクセスできる世の中になることを願います。

 

 

追々記

2020年春のコロナウイルス騒動に伴う休校措置を経て、地元の公立中学で楽しい学校生活を送るムスメSの近況をまとめました。

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