敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

フリーランスが AI 時代に向く理由|本当の「フリー」は顧客からの解放

 

 

過去、航空機関連の開発、ハード/ソフト含めた技術的コンサルティングや技術動向の調査、プランニング、翻訳などの仕事にフリーランサーとして携わってきました。

 

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そのポートフォリオ的な経験から、「人工知能(AI)が普及する現在~未来にかけて、フリーランスというのは、なかなか良い働き方なんじゃないか?」と思うようになりました。

 

人工知能が普及する社会とフリーランスの働き方とでは、「今日と同じ明日は来ない」という共通点があり、人工知能が普及する未来に持つべきマインドは、現時点でフリーランサーとして働くマインドの延長線上にありそうだからです。

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人工知能が跋扈する未来に「今日と同じ明日」は来ない

第3次人工知能ブームの火がついて 10 年近く経ち、もはやブームではなく人工知能が社会のインフラとなりつつありますが、さらに普及が進めば、ルーチン的な仕事は人間の手を離れるものが増えていくのでしょう。

 

意味を理解していないと出来ない仕事や、身体的な感覚の比重が高い仕事、現存しないニーズを掘り起こすような仕事は、現在の機械学習アルゴリズムで容易に置き換えられるものではありませんが、過去のパターン(マニュアル)に従って事務的に頭の中だけで完結するような仕事は、人間がどんなに頑張っても人工知能の速度には勝てません。

 

世の中にはルーチン的な仕事がまだまだたくさん残っていますが、それは、人工知能の導入コストが見合わなかったり(AI 人材が不足していたり)、業界全体が導入に消極的・否定的だったり、人間の保守的な面が強く出ていたり、といったことが理由でしょうから、法律で保護でもしない限りは、市場原理でゆくゆくは人工知能に置き換得られていくと考えるのが妥当でしょうね。

 

短期的に見ると、今日も明日も同じ日常が連続しているのですが、長い目で見てみると、昨日まであった「人間の仕事」が今日は無い、という事態が出てきてもおかしくありません。「今日と同じ明日」が来る保証なんてないのです。

 

そういう未来には、ある分野で「人間の仕事」がなくなったら、別の分野に移って仕事を探さなければなりませんが、そういうマインドを常日頃から持っていなければ、いろんな仕事をハシゴするハードルはなかなか下がりません。

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フリーランサーに「今日と同じ明日」は来ない

フリーランサーは、すこぶる不安定です。今日までは殺人的に忙しいのに、明日からはヒマ・・・みたいなことも普通にあります。「ヒマ」だけなら時間ができて嬉しいのですが、「ヒマ=不安」という等式がほぼ確実に成り立ちます。

 

どこかの会社に雇用されているわけではなく、あくまでも「(個人)事業者」ですから、当たり前といえば当たり前のことです。仕事がなくなったら、どこかから取ってこなければなりませんし、普段から仕事が途切れることのないように、取引先との関係を良好に維持しておく必要もあります。

 

もちろん、今の時代は企業に属していても同じような事態に見舞われる可能性が低くありませんが、どんなに小規模でも企業にはマンパワーがありますし、そのマンパワーでもって複数の事業にリスクを分散しておけば、いずれかの事業が不振に陥っても、その他の事業で補い合える環境が割りと普通にあります。「1+1=3」のような強みです。

 

フリーランサーも、いわゆる「ポートフォリオワーカー」として、さまざまな仕事・活動に同時並行で取り組むことが一般的になりつつありますが、それでも「1×1=1」程度のイメージです。複数の仕事を掛け算して、ようやく1人前です。

 

そんなフリーランサーにも、「今日と同じ明日」が来る保証なんてないのです。

 

フリーランサーの生き残り戦略

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そんなわけで、「ヒマ=不安」という等式に抗うかのように、フリーランサーとしては、ヒマさえあれば色んな「生き残り戦略」を自然と考えるようになります。

 

過去記事に書いた『[高齢フリーランス問題]40 歳超えのじじ・ばば自由業者の生き残り戦略』 などがそれです。

 

企業に属するサラリーマンでも同じようなことを考えると思いますが、自分の経験から感じるのは、やはりサラリーマンだと基本的に「今日と同じ明日」がやってきてしまうため、「生きていくため(食べていくため)に、どうする?」という究極の追い込みに達するのは難しいだろう、ということです。これは、良くも悪くもです。

※ 昔のサラリーマンは、食い扶持の心配なく目の前の研究・開発に没頭できたでしょうから、これは羨ましい限りです。今は、目先の人生だけを考えているわけにもいきません。

 

サラリーマンは「会社=生きる糧」ですが、フリーランサーは「仕事=生きる糧」ですので、生きていくためには仕事を生み出し続けなければなりません。

 

ですので、目先の仕事の品質を高く保つことは当然のこととして、今持っている技術と何を組み合わせれば新たなシナジー効果が生まれるか、次々に登場する新しい技術を自分の仕事にどうやって取り込めるか、世の中のニーズがどのように移り変わっているか、などの考えがいつも頭の中でグルグル回り続けます。

 

そうすることで、ある仕事がつぶれて無くなった場合でも、頭の中で温めておいた別の種類の仕事にいち早く取り掛かれるようになります。そのため、仕事がつぶれて無くなる前に、別の仕事の「芽」を生やすところまでは準備しておきます。

 

フリーランサーの強みは、こういうことを「癖」として自然にこなせるようになることです。

 

「今日と同じ明日」が来なくてもやっていける

フリーランサーに「今日と同じ明日」はやって来ませんが、上に書いたような「癖(=習慣)」を持ち、実際にある仕事がつぶれても、温めておいた別の種類の仕事でそれを補えるような経験を何度かすると、そのうち「今日と同じ明日が来なくても、何とかやっていけるなぁ」という気持ちになってきます。

 

このサイクルを経験することが重要で、人工知能に限らず、加齢による能力の低下や取引先との関係、自分自身の理想や立場の変化など、「今日と同じ明日」にならない要因って意外とたくさんあるものです。

 

そんな時、「何とかやっていける」という経験の積み重ねがあると、動じることが少なくなっていきます。そして、動じることが少なくなれば、ヘンに気負ったり身構えたりすることなく、新しい仕事にスムーズに入っていけます。

 

 

 

まとめ

フリーランサーといっても、百人いれば百通りの生き方があるとは思いますが、それでも大抵のフリーランサーの頭の中には、「明日、仕事がなくなったらどうする?」という不安が少なからずあり、その不安を解消するため、別の仕事のシミュレーションをしたり、その「芽」を生やしておいたり、ということを割りと普通にやっているんじゃないかと思います。

 

このような準備をしておけば、たとえ人工知能にある仕事を奪われようとも、それは想定していた数々の「来なくなる明日」の1つに過ぎない、と考えることができますので、人工知能を恐れたり意識し過ぎたり、ということもありません。

 

そんなわけで、「フリーランスは人工知能時代に向いている」と思う次第です。

 

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おまけ : 本当の「自由」は顧客からの解放

とは言え、現時点のフリーランサーというのは、需給バランスが整っていなかったり、日本的サラリーマン社会の中で諸外国ほど重宝されていなかったり、さまざまな理由で軽んじられている面が多々あります。

 

労働法で保護される「被雇用者」ではなく独立した「事業者」であることから、パワハラやセクハラの対象にされても、背に腹は代えられず、仕事と割り切って泣き寝入りするケースも少なからずあるようです(最近は、中小企業庁がイジメの聞き取り調査をして、イジメるブラック発注者に指導が入るようになっています)。

 

パワハラやセクハラとまで言わずとも、「今日と同じ明日が来ない」という不安が強すぎるため、知らず知らずのうちにクライアントの意図を忖度して、適正な料金を提示できなかったり、顧客対応で休日もつぶれてしまったり、となってしまいます。

 

でも、これでは「フリー」と言えませんね。

 

何にも依存せず完全に独立した自由な働き方を標榜するなら、顧客に媚びへつらってなどいられません。仕事を取りたいがために顧客からの連絡を逃さないように、常にスマホやネットに縛り付けられていては、とても「自由」などと言えません。

 

フリーランサーが本当の「自由」を獲得するには、顧客から解放されなければなりません。そのためには結局、誰にも負けない技術や技能を1つ身に付けたり、掛け算すれば誰にも負けなさそうな技術や技能を複数身に付けたりするしかありません。

 

そうすれば、地球上のどこにいても、仕事の方から追いかけてきてくれますよ。

 

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