敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

[敏感で理系な HSP の仕事]働きやすいフリーランスやリモートワーク

 

 

これまで理系の人間として、フリーランスや中小企業から、社員数万人の大企業に至るまで、さまざまな環境で働いてきました。

 

学生時代には、塾講師や家庭教師をはじめとして、引っ越し、鉄工所、交通量調査、発破騒音調査、パチンコ、運送屋、イベント警備員、ビラ配り、病院、血液検査会社、印刷屋などなど、たぶん 30 種類以上のアルバイトを経験しています。

 

そうやって働きながら、「この仕事は自分に合っているな」とか「やりにくいな」とか、いろんなことを感じていましたが、最近になって「自分は HSP(Highly Sensitive Person)なんじゃないか?」という疑いを持つようになり、これまでに感じていた「合う/合わない」といった仕事観がそれで説明できるような気がしています。

 

一般的に言われているように、HSP な人間は、やはり個人で自由に働くのが向いているように感じるため、フリーランスのことを中心に、来し方を振り返りつつ HSP の仕事について書いてみたいと思います。

※ 大企業や中小企業での HSP の仕事っぷりについても、いつか書きますよ。

 

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HSP とは?

この記事をご覧の方に今さら説明するほどのことでもないのでしょうが、HSP とは、感受性が生まれつき強く、ちょっとした環境の変化や他人の気持ちにとても敏感なため、五感の強い刺激や他人とのコミュニケーションに圧倒され、すぐに疲れてしまうタイプの人を表す心理学用語です。

 

5~6人に1人がこのタイプに属すると言われており、決して珍しいものではありませんが、その定義からイメージされる「内気」「神経質」といった性格とは少々異なります。

 

「HSP 診断」などで検索すれば、セルフチェックできるサイトがたくさん出てきますので、それらで簡単に自己診断できます。いずれの診断も、基本的には、HSP の提唱者である米国の心理学者 Elaine N. Aron 氏(アーロン博士)によるセルフテスト(Are You Highly Sensitive?)に基づいているようですね。

 

ボクは、どのセルフチェックで控えめに診断しても、余裕で「HSP」という判定結果になってしまいますので、それが自分なんだろうと思うようになりました。

 

HSP の特性

HSP に関連するサイトや書籍はたくさん出ていますので、詳しくはそれらをご覧いただければよいのですが、ひと口に HSP と言っても、それぞれの性質に強弱があったり、HSP であるために後天的に「内気」「神経質」といった性格をまとっていたり、周囲(家族や友人)の影響を受けていたりするため、HSP も十人十色です。

 

その中で、「人と一緒に働く」ことに関しては、特に以下のような HSP の特性が挙げられそうです。

  • 他人の存在や感情が気になって、一緒にいるだけで疲れてしまう
  • 集団のエネルギーに圧倒されてしまう
  • 言葉の意味を必要以上に考えてしまう

 

HSP じゃない人には理解しがたいかもしれませんが、オフィスに入ろうとした時、そこにたくさんの人がいると分かったら、そのオフィスに渦巻くエネルギーに圧倒されて、一瞬足が止まります。別に、誰も自分のことなど見ていないのに。

 

そして、他人の会話や咳の音、キーボードを叩いたり紙をめくったりする音が、聞く気もないのに耳から頭に入ってきます。では、静かな職場なら良いかと言えばそうでもなく、人の吐息や人が動いた時の空気の振動なんかも感じてしまいます。

 

また、会議などで気になる言葉やワードが出てくると、それが気になって必要以上に深く考え込んでしまい、気付いた時には、もう次の話題に移っている、なんてこともあります。なので、議事録や打ち合わせ記録が歯抜けになってしまうこともあります。

 

とは言え、四六時中このようなことに悩まされているわけでもなく、目の前の仕事に没頭していたり、超急ぎの案件を抱えている場合などは、ほとんど気になりません。また、仕事上の関係者とは、普通に会話したり、冗談も言い合ったりします。

 

でもやっぱり、周りの環境を知らず知らずのうちに気にしてしまっているのは事実ですから、オフィスにいる間は、かなり神経をすり減らすことになり、それだけものすごく疲れます。ひどい時は、ストレスで悪寒が生じたり熱が出たりして、全身が痛くなります(病院に行っても「原因不明」でした)。

 

+ 理系の特性

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HSP な人間は、些細な情報もすべて拾ってしまうのに、一般的には右脳優位なため、処理能力が追い付かず、頭の中がいつも散らかった状態と言われます。

 

ボクもこのような一面はありますが、昔から数字が好きで、受験期以降を理系として過ごしてきたこともあり、左脳も同等に使っていると思います。どちらかと言えば、入ってきた情報はさっさと処理しないと気が済まないため、頭の中は割りとクリアになっているつもりですが、その性格が整理整頓にも影響してしまっているらしく、身の回りが散らかっていると、かなりストレスを感じます。

 

そんなわけで、オフィスの雑然とした雰囲気、朝夕の駅や繁華街の雑踏などからも、かなりの精神的ダメージを受けます(一方、飲むことも好きなんですが、飲めばすべてがどうでも良くなります)。

 

フリーランスやリモートワークで働く

企業で働くことは、HSP としては苦しい面もあるのですが、それ以上にやりがいや楽しいこともあります。会社のお金で大きな事業を仕掛けてみたり、出張で国内外のいろんな人や景色に出会ったり、チームで困難を乗り越えたり。そのようなやりがいや楽しみが HSP としての苦しみより大きな場合は、組織に属していた方が成長もできます。

 

一方で、やはり HSP の苦しみというのは小さくなく、その苦しみがやりがいや楽しみを凌駕してしまうこともあります。

 

そこで、組織に属しながら完全なリモートワークで働いたり、フリーランスとして1人で働くことを選択した時期もあります。

 

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仕事の内容は、技術的なコンサルティングや技術動向の調査、プランニング、翻訳などで、クライアントからの仕事を請け負い、基本的にはパソコンと通信環境さえあればどこでも仕事できます。個人で独立して働くのはなかなか厳しい世の中ですが、運よくお客さんにも恵まれ、細々ながらマイペースで働き、自分なりの成長も実感できました。

 

理系 HSP にとって理想的な働き方だ!と思いましたね。

 

孤独との闘い

よく、フリーランスやリモートワークで働く場合には、「孤独」が問題になりますね。

 

多くの人は、同じ属性の他人や同じ目標・目的を持った他人とグループを形成し、その中で良くも悪くもコミュニケーションしながら過ごしていたいと思うものですから、1人で働くことに憧れがあったとしても、1週間も1人で働けば、孤独に押しつぶされそうになるんじゃないでしょうか。

 

ところが、HSP には、そのような孤独との闘いはあまりありません。

 

なんせ、他人のエネルギーに圧倒されたり、他人の存在や感情をもろに心で受けてしまったりするわけですから、そもそも、他人と過ごす時間は短い方が良いのです。

 

おそらく、HSP が「他人」に感じるストレスと非 HSP が「孤独」に感じるストレスは同じ程度であり、逆に、HSP が「孤独」に感じるストレスと非 HSP が「他人」に感じるストレスも同じ程度と考えられるため、HSP な人間は、非 HSP な人が考えるほどに「孤独」をストレスに感じません(もちろん、人によります)。

 

なので、孤独を感じる以上に、個人で自由に働けるフリーランスやリモートワークという働き方は、HSP(特に理系 HSP)にとって価値あることです。上に書いたようなオフィスで感じるストレスがすべて解消されるわけですからね。

 

孤独は、たまの飲み会や同窓会などで十分に解消されますし、家族がいる HSP であれば、おそらく家族が一番落ち着く「他人」となるため、孤独はほとんど感じません。

 

 

さいごに

HSP も十人十色なので、上に書いたことがすべて当てはまるわけではありませんが、「他人」よりも「孤独」を選ぶ傾向の強い HSP にとって、フリーランスやリモートワーク(在宅ワーク)という働き方は、理想的だと思います。

 

日本のフリーランサーは、今や労働人口の 20%前後にまで増加しており、米国に至っては、2~3年後には働く人の半分がフリーランサーになる、とも言われています。HSP にとって働きやすい環境が増えるのは、嬉しいことです。

 

ただ、HSP にとってどんな働き方が向いているのか、まだまだ模索中の部分もありますので、今後も最適解を求めて彷徨っていきたいですね。

 

ちなみに、家族がいる場合の「在宅ワーク」は、逆にストレスになる場合も少なからずあるため、よく考えましょうね。

 

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