この夏、長女はアメリカで1カ月ホームステイ、次女と長男は習い事の関係で3泊4日のキャンプ旅行・・・というわけで、普段は騒々しい我が家から、めずらしく子どもがいなくなってしまいました。
こんな機会もめったにないため、ツマと何年かぶりに京都の街を散策することにしました。
今回のテーマは、「京都の東部から中心にかけてのショップや寺社めぐり、グルメとアートの堪能!」です。
38℃を超える酷暑の中、バスをちょこちょこ利用しつつ、合計 10 km 以上は歩いたと思います。何とか熱中症にならずに無事帰還できたため、早速、旅のまとめをしたいと思います。
同じようなテーマで京都お散歩を計画中の方に、少しでも参考になれば幸いです。
- 清水寺 周辺(五条坂 ~ 産寧坂 ~ 二年坂)
- 安井金毘羅宮と Jeremy&Jemimah の綿菓子かき氷
- 建仁寺と蕎麦屋「竹花」
- フォーエバー現代美術館と草間彌生「永遠の南瓜」展
- 日本初のノンバーバル・パフォーマンス「ギア -Gear-」
- 先斗町の川床・納涼床「The みます屋」
- 二条城のプロジェクションマッピング
- 京都一日散歩を終えて
清水寺 周辺(五条坂 ~ 産寧坂 ~ 二年坂)
今回の旅のスタートは、清水寺のふもと、市バスのバス停で言うと「五条坂」です。朝9時ごろに坂を上り始めましたが、開いているお店はほとんどなく、観光客も、たまにすれ違う外国人がチラホラいる程度で、暑いながらもすがすがしいです!
平日のこの時間帯だと、五条坂沿いの駐車場はほとんど空いているようなので、車で京都に来る予定の方は、やはり早い時間の行動がおススメです。
清水の舞台を大改修している以外は、以前来た時と大きな変わりなく、その安定感に心休まります。境内では、岩手県からやって来たたくさんの「南部風鈴」が鳴り響き、とても涼し気で、見応えもありました。
今回は、境内を入ってすぐ、三重塔の北西側に位置する「随求堂(ずいくどう)」の「胎内めぐり」を初めて体験しました。この「胎内めぐり」は、清水寺の歴史の中では格別に新しく、2000年に始まったばかりなので、意外と知らない人も多いですよ。
随求堂には、人々の願いを叶えてくれる大随求菩薩(だいずいぐぼさつ)が祀られており、「胎内めぐり」は、この大随求菩薩のお腹の中を進んでいくイメージです。
1人 100円を払って階段を降りると、一筋の光も見えない完全な「真っ暗闇」です。
母親(大随求菩薩)のへその緒を表す大数珠が壁に巡らされており、これを頼りに胎内を進んでいきます。数珠から手を離すと、前後左右がまったく分からなくなってしまいますので、特にお子さんは、絶対に離さないように気を付けましょう。
暗闇を慎重に進んでいくと、ボヤっと明るい幻想的な場所に出ます。ここには、「随求石」という「梵字(ぼんじ/ハラ)」が刻まれた石が置かれており、これをなでながら願い事をすると、その願いが叶うと言われています。願い事は1つだけです! 欲張らないように!
エアコンが効いているのかどうか分かりませんが、胎内はヒンヤリとしています。決して涼むための場所ではありませんが、酷暑の中を歩いてきた身体にも助かりました。
清水寺の拝観をひと通り終え、清水道を通って、産寧坂 → 二年坂と高台寺方面へ北に向かって下ることにしました。これらの通りは、飲食・甘味・お土産などなど、まさに観光客向けのお店が軒を連ねており、雰囲気は何年経っても変わりません(1つひとつのお店は、もちろん少しずつ変わっていきます)。
その中で、細い路地の奥の方に、ちょっと変わった趣きの店舗を発見したので、立ち寄って休憩してみることにしました。
狭い路地を抜けると広い空間が現れ、「普門庵」という甘味処とお土産ショップが建ち並んだ場所に出ました。全体的に小ざっぱりとして清潔感があり、とても落ち着ける空間です。
甘味処で、わらび餅と、「おふくはん」を模した小倉餡の「百福饅頭」と抹茶のセットをいただき、ショップで試食しながらお土産を買い、とっても元気になりました。とにかく「福」をテーマにしたお店で、敷地内には無料のおみくじも用意されていたり、子連れでもなかなか楽しめそうですね。
その後も、あちらこちらのショップにフラフラ立ち寄りながら、二年坂を下りきったところに、こぢんまりとした組紐のお店を見つけました。「昇苑(SHOWEN)」という本格的な組紐の実店舗で、小さいショップながらも、職人の意気込みが伝わる商品が所狭しと並んでいました。その中から、ツマが何やら購入していました。
安井金毘羅宮と Jeremy&Jemimah の綿菓子かき氷
二年坂を下り切ったところで進路を西に変え、100~200m進むと、大きな道路(東大路通り)の向こう側に安井金毘羅宮と、その脇の小さな茶色のお店「Jeremy & Jemimah」が見えます。
安井金毘羅宮は、「縁結び/縁切り」の神様で有名です。桂米朝師匠や横山やすし師匠の絵馬も飾られていたり、嵐の二宮君も訪れたことがあるらしく、上の写真のように岩にくり抜いた穴をくぐって、「縁結び or 縁切り」の願掛けをします。猛暑の中、何人か(全員女性)が順番待ちをしていました。
この金毘羅宮を訪れたのは、ツマがニノのファンだから、というわけですが、ボクの目的は、Jeremy & Jemimah の綿菓子です。
抹茶や梅干し、桜餅など、ちょっと変わった綿菓子が 10 種類もそろっていて、どれか食べたい! と思ってやって来たわけですが、さすがに暑くて、綿菓子は手が出ません。そこで、綿菓子トッピングの「かき氷」があることに気付き、そちらに変更。
涼し気なシロクマの絵のカップに、塩キャラメル味のかき氷と、その上の綿菓子。氷の塩味に綿菓子がぴったりで、一気に食べきってしまいました。塩分補給で、熱中症対策にも申し分ないですね。
そんなこんなで金毘羅宮の参拝を終え、熱中症対策も万全となったので、金毘羅宮から北西に向かって、細い路地をチョコチョコ、カクカク曲がりながら 200mほど進むと、建仁寺の北門前に出ました。
建仁寺と蕎麦屋「竹花」
建仁寺は、京都最古の禅寺(およそ 800年前に開創:栄西禅師)で、臨済宗建仁寺派の大本山としてあまりに有名ですね。祇園の雑踏の中に広大な敷地を構え、「ここが京都の中心部か?」と思えるほどの静寂をもたらしてくれます。訪れた時も、適度なセミの鳴き声の中、人もまばらで、優しい風が吹き抜けていました。
今回、建仁寺を訪れたのは、仏殿兼用の「法堂(はっとう)」の天井に描かれている「小泉淳作画伯」筆の「双龍図」を拝見するのが主目的です。
写真ではなかなか伝わりませんが、実際に目の当たりにすると、そのスケールの大きさや2体の龍の迫力に圧倒され、思わず息を呑みます。この双龍図の制作に掛けられたエネルギーや日数を想像すると、気が遠くなりますね。暑さなんか、どうでも良くなります。
その他、建仁寺には、国宝の風神雷神図屛風(国宝なのに至近距離で見られる!)、豊臣秀吉ゆかりの茶席「東陽坊」、数々の襖絵、美しい庭など、ゆっくりゆったりと見て回るのに丁度良いお寺です。インスタ映え(写真映え)する空間や景色も多く、何組かの外国の方が、浴衣を着て撮影会のようなことになっていました。
新進の書家や画家の作品も展示してあったり、昔から新しいことにチャレンジするイメージの強いお寺ですね。いろいろと楽しませていただきました。
建仁寺の拝観を終えると、ちょうどお昼時で、お腹が空いていることに気付きました。
そこで、建仁寺の北門を出て東にスグ、2件目あたりの「蕎麦や 竹花」さんにフラりと立ち寄りました。古い日本家屋をそのまま生かした自然な造りの蕎麦屋さんで、なかなか良い雰囲気を出しています。
上の写真にあるように、ツマは冷たいレモンそば、ボクは温かい九条ネギそばと京都の地ビールをいただきました。はっきり言って、どちらも最高!!です。ボクは、とにかく薄目の味付けで出汁や素材の旨味を楽しむタイプなのですが、どうしても外食だと、濃い目の味に出会うことが多くなります。しかし、このソバは、ボクの好みにぴったりで、何の抵抗もなく身体に吸い込まれていきました。この界隈に来たら、また必ず寄ると思います。
(その外観もあって)さぞかし歴史あるお店なのかと聞いてみたら「6年前からです~」ってことでした・・・い、意外に最近なのね・・・でも美味しかった!
フォーエバー現代美術館と草間彌生「永遠の南瓜」展
蕎麦屋を出て、そのまま花見小路の雑踏を少し北上すると、右手に大きな建物が見えます。祇園甲部歌舞練場の隣の「弥栄会館」です。その中の「ギオンコーナー」は、
舞妓さんによる京舞をはじめ、茶道、華道、箏曲、雅楽、狂言、文楽、7つの伝統芸能を鑑賞できるスポットです。
そして、その弥栄会館から右に目を移すと、高さ数mの黄色(黒斑点)のカボチャのオブジェがどっしりと構えています(下の写真)。
何かと思って隣りの建物を見てみると、古いながらも立派な建物を利用したフォーエバー現代美術館にて、前衛美術家として有名な草間彌生さんの「永遠の南瓜」展(2018.5.3 ~ 2019.2.28)が開催されていました(すっかり忘れてた!)。
フォーエバー現代美術館は、大正 2 年に建てられた築 104 年の伝統的日本建築の有形文化財「八坂倶楽部」を利用して、2017 年にオープンしたばかりです。そして、この美術館が所蔵する 700 点近くの美術品の6割近くを占めるのが草間彌生さんの作品ですが、その彼女が愛する「南瓜」をテーマにした展覧会が、この「永遠の南瓜」展というわけです。
草間さんは、長野県・松本市出身、京都市立芸術大学ご卒業ということで、京都にも関係の深い世界的に有名な芸術家です。これは是非見ておこう、ということになり、1,500円を払って入場しました。
草間さんがまだ無名のころの作品から、20代後半~ 10 年以上にわたる米国生活を経て日本でご活躍となり、ごく最近に至る作品まで、6つの展示室に分かれた作品群をじっくりと拝見することができます。「ドットと無限の網」というはっきりとした基本コンセプトの中に、遊び心や生命への畏怖と礼賛、永遠性に対する希望と絶望など、いろんなものが感じられます。似たような作品の中に、どのような個別のメッセージが含まれているのかを考えるのが面白いですね。
館内には、草間さん作の食器を利用したカフェ、草間グッズを取り扱うショップもあり、草間ワールド全開です。ただ、そこそこ良いお値段でもあるため、クリアファイルやちょっとした小物などだけ記念に購入しました。
日本初のノンバーバル・パフォーマンス「ギア -Gear-」
「永遠の南瓜」展をじっくり堪能した後、身体を融かすような日差しの中、祇園界隈や河原町周辺を散策して三条まで上がり、寺町通りを西にスグの趣きある建物「ART COMPLEX 1928」に到着しました。
次のお目当てである日本初のノンバーバル(=言葉に頼らない)パフォーマンス『ギア -Gear-』を鑑賞するためです。
セリフを使わない「ノンバーバル」という演出により、光や映像と連動したマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングによる迫力のパフォーマンスで感動のストーリーを描いた、知る人ぞ知るミュージカルです。
6年ほど前からのロングランとなっており、当初から観たいと思いつつ、ようやく願いが叶いました。なかなか行く機会に恵まれなかったもので・・・。
平日にも関わらず、老若男女、子どもも外国人も観に来ており、100 席ほどの観客席はほぼ満席でしたね(ただ、開始当初の人気は落ち着き、平日であれば、当日券でも十分に入手可能なようです)。
1回の公演は、ちょうど 90 分。内容は特に書きませんが、「超」が付く満足です。ロングランということもあり、改良が重ねられ、客の心を存分に惹きつける演出となっていますし、5人の出演者のプロ意識もかなり高いと感じました。
なお、公演内容は同じですが、各パフォーマンスにそれぞれ数名のキャストが登録されており、その組み合わせは 4,000 通りを超えるとのこと。そのような組み合わせの妙を楽しんだり、お目当てのパフォーマーを観るために駆け付けたり、ということで、リピーターさんと思しき方もチラホラ見かけました。
基本的にセリフがないため、子どもでも外国人でも十分に楽しめます(たまに大きめの音やド派手な光の演出などがあります。あまり小さなお子さんは、ビックリして泣いちゃうかもしれませんので、ご注意ください)。
いや-、素晴らしいパフォーマンスでした。京都へお越しの際は、ぜひ。
先斗町の川床・納涼床「The みます屋」
「ギア -Gear-」を観劇した後は、灼熱の西日の中をウィンドウショッピングしたり、たまに店舗に入って身体を冷ましたりしていたら、早くも 17 時になりました。
ちょっと早いですが、お待ちかねの夕食です。夕食後に行く予定の所がもう1つあるため、早めに夕食を取るつもりでいました。
河原町周辺には食べる所がいくらでもありますが、せっかく夏ですし、日本の風情(川床・納涼床)を味わえる「先斗町(ぽんとちょう)」のお店で食べることにしました。ボクは、仕事や職場の関係で何度も利用したことがありますが、ツマはほとんどないようなので、丁度良いかなと思いました。
特に予約せず、クチコミなどにも頼らず、新しいお店を開拓するつもりで、先斗町をブラブラしました。さすがにまだ 17 時なので、どこのお店も開店したばかりの忙しさがあり、お客さんもほとんど歩いていません。
そして、少しだけ迷って入ったのが「京Cuisine The みます屋」という創作京料理のお店です(床席(屋外)を考えていましたが、暑すぎるので、ツマと相談した結果、「鴨川を一望できる屋内の席」に決まりました。たぶん、これで正解です)。
やはり、客はボクらだけでしたが、なかなか雰囲気の良いお店で、どの店員さんの対応も爽やかで温かく、気に入りました(たまに「ハズレ」があるのですが、今回は「アタリ」でしたね)。平日なのに、17時半ごろから日本人も外国人もお客さんが増えだし、すぐに満席になりましたので、もともと人気があるお店なんだろうと思います。
お味も申し分ないです。3種のお造り、ぐじ(甘鯛のことです)とナスの揚げ出し、オリジナルサラダ、カモロースの炙りなどを注文しましたが、どれも美味しいの一言。クーラーの効いた室内で、2時間ほど掛けて一日の出来事を振り返りながら、のんびりとした夕食を楽しめました。
驚くべきは、お値段です。2人でアルコール類を5~6杯とデザートも注文したのに、1万円を切りました。暑さで食欲が少し落ちていたとはいえ、ボクのイメージする先斗町ではあり得ないお値段でした。コスパ高いです。
食事を終えて表に出ると、そこは 17 時前後からすっかり様変わりして、人でごった返していました。しかも、6~7割方が外国の方です。久しぶりに先斗町へ来てみて、この光景に一番驚かされましたね。
二条城のプロジェクションマッピング
お腹もいっぱいになったことだし、京都一日散策の最終目的地へバスで移動です。
ボクは、電車やバスの路線を覚えたり、乗りこなしたりするのが割りと好きなのですが、この京都のバスも複雑怪奇で、なかなか攻略しがいがあります。アルコールと暑さのせいで頭が少しクルクル回る中でしたが、しっかりと攻略しました。
最後の目的地は、国宝・二の丸御殿の大広間で「妖怪たちの七夕」をテーマに8月1日 ~ 15日の日程で初のプロジェクションマッピングが開催されている「二条城」です。そう、今から 150年ほどまでに徳川幕府が終焉を遂げた大政奉還の舞台となった、あの二条城です。
1回2分半の映像が障子や白壁などに投影されます。映像は最大で縦4メートル、横 20メートルほどと、それほど大きなものではありませんが、思っていたよりは迫力がありますし、楽しめます。コミカルな妖怪が基本ですが、最後の方にちょっと怖いのが出てきて、泣いてるお子さんもいましたので、小さなお子さんにはちょっぴり怖いイメージが頭に残ってしまうかもしれません。
プロジェクションのほか、ライトアップされた風鈴があったり、妖怪たちと記念撮影できたり、といったコーナーも用意されています。全体的なコスパとしては、まぁ高くも低くもなく、普通でしょうかね。
京都一日散歩を終えて
自宅に付いたら、22 時を回っていました。実に、14時間近くにわたって京都市内を歩き回っていたことになります。帰宅して初めて、足腰がかなり疲れていることを実感しました。楽しいことをしていると、そんなもんですよね。
1日にしては、かなり充実した有意義な時間を送れたと思いますし、訪れたスポットはどこもハズレなく、目の保養や心の肥やしになりました。ツマも、さまざまなショップでさまざまな商品に接することができ、大満足のようです。
さて、次は京都のどこを攻めましょうかね。