敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

【実録】小学校に対する署名活動ほか:子どもファーストの行事を求めて

 

 

この秋、子どもたちが通う公立小学校で、運動会や学習発表会の内容が、軒並み縮小となりました。具体的には、運動会の「組体操」「騎馬戦」「ソーラン節」といった主要種目がリレーなどに変更となりましたし、全学年集まっての学習発表が無くなりました。学校側によると、その主な理由は以下の通りです。

  • 教員の「働き方改革」の影響で、練習や準備の時間が取れなくなった。
  • 児童の安全面を考慮した。

 

社会の「働き方改革」が進む中、昔から問題になっている先生の残業問題や精神疾患による休職問題に光が当たるのは当然のことです。今どきは、健全な職場環境でなければ、良い人材も集まりませんし、当然、良い教育もできないでしょう。

 

児童の安全面についても、「組体操」での骨折事故が相次いで起こってからは、その反動でより安全側へとシフトする学校が増えている事情もありますし、教育委員会からも安全を重視する方向で指導があったようです。

 

このような内容縮小に対して、一部の保護者が異議を申し立てました。その理由は・・・

  1. 「働き方改革」は理解するが、一律の内容縮小が唯一の答えなのか疑問
  2. 運動会前に一部の児童が異議申し立てしたにも関わらず、検討されなかった
  3. 児童が大きな演技や団結力を披露する機会が無くなってしまった
  4. 隣接学区では、従来の内容を踏襲している
  5. 何よりも、内容変更が事前に周知されなかった

 

保護者が最も問題視しているのは、5番目の「十分な事前周知がなかった」点です。

 

学校側としては、内容の変更の許可をいちいち保護者に求める義務などありませんし、春先に紙切れ一枚とは言え、変更の予定を全家庭に配布したことで「決着」と思っていたのでしょうが、水面下では、不満の渦がずーっとくすぶっていました。

 

そして、運動会の前にも後にも、経緯の説明を求める声がいくつか上がっていたのに、結局最後まで、十分に合理的と言える理由が説明されなかった結果、行き場を失ったマグマは、「署名活動」となって動き始めることになりました。

運動会 体育祭 署名 活動 組体操 騎馬戦

ボク自身は、教員の長時間労働の問題を理解しているつもりではありますし、その根本的な解決には、正規教員の増員、少人数学級の徹底、雑務(目標申告や免許更新、意味のない研修への参加 etc.)の見直し、部活の外注化なんかが必要とは思いつつ、すぐにできる対策として、運動会や学習発表会など、練習や準備に相応の時間を要する行事から削っていくこともまた、もっともな話だなと思っています。

 

児童の安全面についても、「組体操」が行き過ぎたのは、保護者が過度に求める「感動」とそれに対する学校側の「忖度」の成れの果てという見方ができるでしょうし、リスクに対して過剰な安全を求めがちな最近の風潮も考慮するなら、少なくとも数年は縮小体制で進むのも、これまたもっともな話だと思うわけです。

 

最近の子どもを見ていると、食事や運動の影響なのかもしれませんが、とっても細身の子と、ポッチャリ型の子と、2極化が進んでおり、いわゆる「中肉中背」の子が昔に比べて少ないように感じます。このような状況では、「組体操」や「騎馬戦」で怪我をする確率も高く、そうならないように注意する先生方のストレスも相当なものだろうと想像します。

 

とは言え、特にボクらの世代にとっては、「組体操」や「騎馬戦」というのは1つの「文化」と言えるほどの位置付けであり、そういった1つひとつの文化が十分な説明もないままに容易く終焉を迎えることには、少々違和感があります。懐古的に「従来の種目を復活させろ!」などとは言いませんが、やっぱり説明は欲しいところです。

 

また、運動会の前には、児童たちが異議を申し立てていたにも関わらず、そのような意見が十分に聞き入れられなかったというのは、「子どもファースト」の観点からして、とても残念なことに思えました。

 

そこで、ツマともいろいろ相談した結果、署名活動のお手伝いをすることになりました。

 

署名の目的が、単純に従来種目の復活を目指すものではなく、あくまでも「翌年に向けて、説明・話し合いの場を設けて欲しい」という立場であり、学校に盾突くような攻撃的な人は関わっておらず、皆さんが「子どもファースト」のより良い教育環境を求めての苦渋の決断であることが分かったからです。

 

他の協力者と連絡を取り合ったり、活動の相談をしたりするのはツマであり、ボクはあくまでも裏方ですが、活動の備忘録として、これまでにやってきたことをまとめておきます。

 

署名活動

基本は、署名の主旨を説明する本文に以下のような署名欄を設けて、回覧します。

署名

 

「回覧」としたのは、皆さん忙しくて持ち回る時間がないことと、なるべく顔バレせずに進めたい、という意向のためです。もちろん、学校からの配布などは期待できません。PTA も及び腰です(何のための PTA なの?)。

 

ただし、実行者名を「保護者有志一同」としか書いていませんし、連絡先もまともに記載しておらず、運動会から時間が経過していて保護者の熱も冷めていることが予想されます。こういったものを回覧したところで、名前や住所などの大切な個人情報を書いてくれる人など、ほとんどいないのではと心配しました。

 

そこでツマは、「あくまでも補佐的な賛同者」という立場で、最初から親しいママ友に署名用紙を持参することにしました。

 

これが大当たりで、面と向かえば口頭で説明や補足もできますし、相手の気持ちを探ることもできますし、とても効率良く署名が集まっていきました。

 

それに、こういう時の女性の連帯意識ってのは、ホントにすごいですね。「署名用紙くれたら、私も友達に回すよ!」と言ってくれる人が何人も現れ、ネズミ講式に 署名が集まります。男にはなかなか真似できない芸当です。実際、お父さん方は、「どっちでもいいよ」という意見が大半ですし、パパ友つながりもほとんどありません。お母さん方の熱い連携に、ちょっとした感動すら覚えました。

 

一方、このような活動を始めると、必ず反対する人が出てきます。

  • 「変更後の内容で十分良かった」という人
  • 「学校様に物申すなんてトンデモナイ」という人
  • 保護者間の分断を心配する人
  • 一部の保護者が目立っていることに嫉妬している様子の人
  • 身内に学校関係者がいる人
  • ただ単に反対したい人

 

色んな意見が出てくるのは当然ですから、すべて想定内のことではありますが、思っていたほどには出てきていません。結果的には、賛同してくれる人の方が圧倒的に多いように見受けられますので、結果オーライというところです。

 

現在進行中ですが、今のところ、家族や学区外の人も含めて、計 1,000 件近くに達していそうな勢いです。世帯数が 400~500 ほどの小学校ですから、なかなか幸先の良いスタートとなっています。

 

こういう活動は、賛成と反対の間で関係者全体が揺れ動くものですから、いま調子が良い分、近いうちに大きな反動の揺り戻しがあるんじゃないかと思います。ひょっとしたら、反対意見が多くなり、一度署名した人が恐くなって「やっぱり辞退する」と言ってくるケースも十分に考えられます。兜の緒を緩められるのは、すべてが終わったあとです。

 

担任への直談判

署名と並行して、学期末の個人懇談の時に、有志一同それぞれが担任の先生にひと言でも良いから話をすることになりました。そして、そのことを校長先生に伝えてもらうことも口添えしました。

 

うちの子の担任は、従来の運動会や学習発表会のやり方に戻したい派であることが分かっていたので、渡りに舟ということで、手書きの手紙を校長先生に渡してもらうことにしました。内容は、こんな感じです。

 師走の候、今年もあとわずかとなりましたが、ご清祥のことと存じます。

 日ごろは娘・息子が大変お世話になり、厚くお礼申し上げます。

 運動会をはじめとする秋の一連の行事も、終わってみれば一瞬の出来事のようでしたが、落ち着いて振り返ってみますと、子どもたちにとって大きな変化の一年であったと感じられます。そして、我が子との会話の中で、運動会の騎馬戦が廃止となったり、学習発表会の形態が大きく変わったりしたことが、実際には子どもたちの中で十分に消化しきれていないことを知りました。周りのお子さんや保護者の方からも、同じような声が少なからず耳に届きます。

 児童の声としては、上級生がかつて見せてくれた大きな演技・団結力あふれる発表を自分たちが披露できなくなったことへの無念の思いが聞かれます。保護者の声としては、事前に書面で変更のお知らせがあったとは言え、近隣他校や他の公立小学校との共同歩調ではなかったことへの驚きが聞かれます。想像以上の変化に戸惑いを隠せない方々の思いが、署名活動となって進められています。

 運動会にも学習発表会にも、そして児童にも保護者にも共通するのは、「子どもたち自身が望む行事であったか」「先生方の負担軽減や子どもたちの安全面を含めて、本当に必要な内容縮小であったか」「子どもも保護者も、事前に十分納得できていたか」という点が挙げられますし、私たちもその点は、多少なりとも疑問や不安を禁じ得ません。

 この度、不敬ながらも筆を取らせていただきましたのは、何も懐古的に従来の運動会種目や学習発表会の復活だけを求めるものではなく、大きな変化を伴う場合は、もう少しオープンに児童や保護者の声が反映される場があって欲しいと願ってのことです。また、今年度の運動会や学習発表会について、変更の経緯がもう少し詳細に、広く周知される機会が設けられることも願っております。

 昨今の働き方改革が及ぼす影響や安全面に対するご配慮など、私たちには知り得ないことも多々あろうとは存じますが、そういったことも含めて、数々の行事が今後も子どもファーストの視点でより良き方向へと進むよう、先生方のお考えを共有しつつ、少しでもお力になれれば幸いに存じます。

 末筆ではございますが、このように突然のお願いとなってしまう不躾をどうかご容赦ください。そして、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

大事なのは「手書き」です。印刷の 10 倍以上の効果があると思っています。

 

マスコミへのタレコミ

さらに並行して、新聞社を中心に、このような活動があることをメールで流しておきました。こういう問題は、大手新聞社よりも、地方紙が良いでしょうね。

 

このことは誰も知りません。ボクとツマしか知りません。

 

教員の働き方改革も、組体操を含めた安全の問題も、割りとホットな話題だと思いますので、関心を持った新聞社が教育委員会や学校などに取材してくれれば、そこが突破口になるかもしれません。署名などの他の活動が不調に終わる可能性も十分にありますので、その場合の保険の意味もあります。

 

ただ、今のところは、マスコミ関係の動きは特になさそうです。年の瀬ということもあり、報道各社にとってはそれどころではない忙しさですよね。

 

今後の予定

冬休み期間中は、旅行や帰省の人も少なからずいますので、活動はいったん小康状態となっていますが、休み明けからボチボチと署名のまとめに入っていきます。

 

1月中旬~下旬には何らかの結論が出ていると思いますので、引き続き備忘録として、この記事を更新することにします。

 

- 敏感の彼方に -