任天堂 Switch が我が家に来てから2年ほどが経過しました。コロナ禍による休校中はもちろんその前後も、小3のムスコNは、自分が主体的に決めたルールの中でそれなりの節度を保ちつつ、目一杯ゲームを楽しんでいます。
ボク自身は、それほどゲームに没頭することもなく、外で遊んだりスポーツに打ち込むことの方が楽しい少年時代でしたので、ゲームにドはまりしているムスコNを見て、最初は戸惑いとともに恐怖を覚えていました。人間って、自分が理解していないものを怖がる習性がありますからね。
そんな時期を乗り越え、今となっては、たまにムスコNとゲームを楽しむようになりましたし、ゲームの話をすることも多くなりました。
そこで、ボクのようにゲームに対する免疫のない親が、子どもとゲームの上手なお付き合いのためにできることを、経験に基づいて書き連ねてみたいと思います。ただゲームを排除することに意味はなく、適度な付き合い方を模索していくことが大切です。
ゲーム障害(ゲーム依存症)とは?
2019年にWHO(世界保健機関)が認定した「ゲーム障害」という疾病は、以下3つをすべて満たしている状態のことを指します。
- ゲーム時間のコントロールができなくなっている
- ゲームが生活の中心になっている
- 長期間(12ヵ月間)、家庭や学校などで問題が続いている
つまり、長期間にわたって家庭や学校生活に問題が生じるほど、ゲームに没頭してしまい、自分を見失っている状態です。そう考えると、病気と言えるのはかなり依存している状態であり、ほとんどの子供はこれに該当しないと思われます。
とは言え、それで安心してもいられません。WHOが疾病に認定したということは、ゲームには依存性がある、ということであり、ちょっとしたきっかけで我が子もゲーム障害に陥る可能性はあるわけです。
そこで、以下のように対処してみました。
ステップ1.「ゲームに逃げたくなる状況」を見つけて排除する
ゲームに限らず、人間が何か中毒性のあるものに依存するのは、それに依存することで安心感が得られるからです。逆に考えると、生活の中に耐えがたい不安があるため、ゲームなどの「安住の地」に逃げ込み、そこから抜け出せなくなってしまうわけです。
たとえば、学校の先生とうまくいってなかったり、イジメに遭っていたり、ということが考えられますし、塾や習い事の負担感が増していることも考えられますし、受験勉強などを苦痛に感じていることも考えられます。
子どもの言動や様子から、このような困難が生じていないかを確認します。何かおかしな様子があるなら、その不安感を取り除いてあげることがゲームの大前提となるでしょう。子どもがゲームと付き合う限り、この点は常に意識しておこうと思っています。ゲーム以外に、スマホやネット依存でも同じことが言えますね。
ステップ2.親もやってみる
親が理解していないものを、すぐに「悪」と決めつけるのは良くないですよね。特に、子どもにとって大事な存在であるゲームを「悪」「無価値」と断罪するのは、子どもの尊厳を踏みにじる行為です。
ボクのようにゲーム知識の乏しい人間は、世の中の印象だけでゲームを「悪」「無価値」と決めつけてしまいがちです。それは、自らの経験と理解が足りていないものを想像で判断しているに過ぎず、あまりに無責任と言えます。
まずは、親自身もやってみることです。そうすれば、ゲームの長所も短所も自ずと理解できるでしょう。
ステップ3.ゲームの長所を共有する
親がゲームをやってみて、その長所が見えてきたら、それを積極的に子どもと共有します。たとえば、以下のような長所が挙げられます。
- ゲームを通じて、子どもが友だちと仲良くなれる(ゲームが上手くなれば、友人グループの中で一目を置かれるようになる)
- 試行錯誤する力、物事を最後までやり通す力が身に付く
- チャレンジ精神や競争心が鍛えられる
- プログラミングや空間設計(3次元CAD)など、学習や仕事の素養となる
- コロナ禍のように現実世界で友だちに会えなくても、オンラインでつながることができ、メンタルヘルスを正常に保つのに役立つ
このような長所を子どもと共有すれば、子どもは、自分が「ゲーム」という素晴らしいアイテムを手にしていることを実感でき、自信と自己肯定感が強くなります。また、そのように長所を理解してくれた親にも、肯定的な気持ちを抱くようになります(と、信じています・・・(*'▽') )。
ステップ4.ルールを親子で決める
子どももある程度の年齢(小学生ぐらい)になると、自分と友だちを比較することなどを覚え、そういった人付き合いを通じて、自分なりの考えを持つようになります。ゲームについても、「○○君は、一日に1時間やっている」といった情報を仕入れてきて、それに対して自分は長いか短いか、などと考えるようになります。
これに対して、親が勝手にルールを決めてしまうのは、子どもの反感を買うだけです。基本は、子どもが主体となってルールを決め、親はアドバイス程度に留めておくのが良いと思います。子どもと言えども、自分で決めたことには、ある程度の責任感を持つようになります。
たとえば、以下のような項目について、ルール設定をすることになるでしょう。
- 一日のゲーム時間
- ゲームと宿題(勉強)の優先順位
- ゲームをやる場所
- 成績が落ちた場合の約束事
- ルール違反した場合の約束事
ゲーム時間については、平日は30分~1時間という家庭が多いのではないでしょうか。我が家では明確に取り決めていないものの、ゲームは単位時間当たりに得られるものが少ないと感じるため、ムスコNには、そのような観点で時間の大切さを伝えています。その結果、平日のゲーム時間は1時間前後で、一週間に3日前後「ゲームやらないデ―」を設けているみたいです。子どもって、親の思いを結構受け止めてくれるものです。
ステップ5.感情的にならない
「ゲームのせいで成績が落ちてるじゃないか!」などと親が感情的になってしまっては、子どもも感情的にならざるを得ず、これまでの努力がすべて水の泡です。そもそも、ゲームのせいで成績が落ちるという因果関係は、まだはっきりしていません。
成績が落ちたり、ルールを守らなかったり、という理由で、親が勝手にゲーム機を隠すのは、親が感情的になっている証拠です。その場合も、規則を決めておいたなら、その規則に従って淡々と対処するだけです。そこに感情は不要です。不都合なものを「隠す」「見えなくする」という行為は、子どもがそれを覚えてしまい、アングラ化の第一歩となりますので、注意しましょう。どこかの政治家みたいですね。
さいごに
考えてみると、ギャンブルも投資も、ブログや動画の作成も、SNSも、はたまた受験勉強や仕事も、本人が好きで好きでたまらず、時間を忘れてつい没頭してしまうようなら、それらもゲームと大差のない中毒性(依存性)を有していることになります。というか、これらを含めた人生そのものが、ゲームのようなものだと感じています。
だったら、ゲームも含めて上手に付き合いながら、すべてを楽しめるように環境を整えていく方が大切なんだろうと考え、実際にそうしています。
子どもたちがゲームやネットに過度に依存することなく、それぞれの良いところを吸収しながら、バーチャルでもリアルでもどちらでも良いので、自分が最高に没頭できる何かに出会ってくれれば、こんなに嬉しいことはありません。
「中毒」と「没頭」は紙一重ですね。その使い分けは、子育てにおける永遠の課題です。