大学生のころ、生活費やお小遣いを稼ぐため、塾講師や家庭教師のほか、引っ越し、鉄工所、交通量調査、発破騒音調査、パチンコ、運送屋、イベント警備員、ビラ配り、病院、血液検査会社、印刷屋・・・などなど、 30 種類以上のバイトをしました。
最近では、学費が高くなる反面、親からの仕送り額が減る傾向にある中、生活費を工面するため、「客引き(いわゆる「キャッチ」)」に参入する学生さんも増えてきているようです。
「客引き(キャッチ)」とは
「客引き(キャッチ)」とは、風俗店や飲食店などへお客さんを誘導し、その成果に応じて報酬をもらえる仕事(アルバイト)です。
たとえば、指定された居酒屋に客を案内すると飲食代の 20%前後が収入になるなど、割の良さで知られています。
「客引き(キャッチ)」行為の禁止・規制
ただし、客引き行為は、風営適正化法(風営法)で基本的に禁止されており、都道府県の迷惑行為防止条例でも、
- 風俗店の客引きは全面的に禁止
- 悪質な客引き(服をつかむ、つきまとい等)は飲食・カラオケ店などでも禁止
- 違反者には 100万円以下の罰金
といった規制の流れになっています(もちろん、都道府県によって異なります)。
学生さんでここまでどっぷりはまって違反する人は少ないでしょうが、都道府県の迷惑行為防止条例以外にも、主要都市では、「客引き行為等の禁止等に関する条例」といった名称の独自の条例を施行する動きが活発になってきています。
場合によっては、学生生活を棒に振ってしまう行為ですので、客引きのバイトをする大学生・高校生の皆さんは、特に注意が必要です。
客引き行為等の禁止等に関する条例
主要都市の「客引き行為を禁止する条例」は、もちろん都市ごとに若干の違いはあるものの、だいたい次のような構成となっています。
- 住民の要望などに基づいて、「客引き禁止区域」を指定する。
- 「客引き禁止区域」内の路上や公園などで、特定の相手を店に誘ったりスカウトしたりする行為(そのために相手を「待つ」行為も含む)を「客引き」と認定する。
- 条例の違反者に、指導・勧告・命令を行う。
- 命令に違反すれば、5万円以下の過料を徴収するとともに、市のホームページなどで氏名や住所を公表する(学生でも、成人していれば対象となる)。
画像引用:名古屋市公式ウェブサイト
ネット上で「氏名が公表される」ということは、就職活動に影響する可能性が大きく、軽い気持ちで違反することの代償の大きさが分かると思います。
もちろん、ルールを守った上での節度ある客引きは、立派な経済活動ですし、「割のいいバイト」となる可能性が高いです。
そのためには、「客引き禁止区域」を把握しておくことが大前提と考えられますので、以下に、主要都市の客引き禁止区域をまとめておきます(条例そのものがない都市や、条例の施行から日が浅く、禁止区域がまだ指定されていない都市もあります)。
主要都市の「客引き(キャッチ)禁止区域」
以下に、全国主要都市の「客引き禁止区域」をまとめますが、これらは本記事執筆時点のものであり、区域は随時更新され、ページ URL も変更となる可能性があるため、その点はご留意ください。
また、各都市の条例の詳細については、「客引き 条例 〇〇(都市名)」で検索すれば、だいたいは上位に目的のページが表示されますので、そちらでご確認ください。
札幌市
ススキノ条例(通称)に関するページの下の方に、指定区域図があります。
仙台市
仙台市客引き行為等の禁止に関する条例に関するページの下の方に、指定区域図があります。
東京都
警視庁の「法令・条例」ページの中にある「客引き等の相手方となるべき者を待つ行為を規制する区域の指定について」を挙げておきます。
※ 東京都の条例にて指定された区域です。
横浜市
未指定(2020/9/30 現在)
川崎市
客引き行為等防止条例に関するページの中に、重点区域があります。
名古屋市
客引き行為等禁止区域に関するページの下の方に、地区ごとの地図が掲載されています。
京都市
「客引き行為等禁止区域について」というページに、客引き行為等禁止区域があります。
大阪市
「客引き行為等の適正化に関する条例」というページに、キタ地区の禁止区域とミナミ地区の禁止区域があります。
神戸市
兵庫県の「客引き行為等の防止について」というページに、 禁止地区が掲載されています。
※ 兵庫県の条例にて指定された区域です。
広島市
未指定(2020/9/30 現在)
福岡市
福岡県警の迷惑行為防止条例の改正に関するページに、県下の禁止地域が掲載されています。
※ 福岡県の条例にて指定された区域です。
その他の注意事項
客引きバイトは、誘導した客の飲食代の 20%前後が収入となる割のいいバイトですから、ついついゲーム感覚で夢中になり、他の客引きバイトとの競争も白熱して、エスカレートしていく場合が多々あります。
割の良さに惹かれて、違反行為であることを知りながら続けてしまうケースもあります。
また、客引き行為に没頭しすぎて昼夜が逆転してしまい、留年や退学へと至ってしまうケースも少なからずあるようです。
やはり、ルールと節度は厳守する必要がありますね。
まとめ
禁止区域での客引きや悪質な客引きは、法律や条例に違反するものです。目先のお金欲しさで学生生活を棒に振ってしまうことのないよう注意しましょうね。
お子さんが遠方の都市部で学生生活を送っている保護者の皆さんも、帰省の機会などに、客引きのリスクや怖さを話し合ってみることをおススメします。