ZOZOTOWN を運営するスタートトゥデイが、スマートフォンとの組み合わせで身体を瞬時に採寸できるセンサ内蔵ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布を始めました。
(画像引用:ZOZOTOWN より)
現在、ZOZOTOWN で予約注文を受け付け中であり、今月下旬から順次発送される模様です(送料 200円が必要)。
使い方は簡単です。
ウェットスーツのようなボディスーツを上下セットで着用し、ZOZOTOWN アプリを起動したスマホをかざすと、スーツとの Bluetooth 通信によって、全身1万5000カ所の寸法が一瞬で測定されます。
これで、
「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ」
という謳い文句の通り、自分にぴったりの服を買えるようになるわけです。
また、「科学やテクノロジーの力で究極のフィット感を実現する」というオリジナルブランド「ZOZO」についても、そのロゴ(↓)とともに紹介されています。こちらは、今月末から商品が販売されるみたいですね。
(画像引用:ZOZOTOWN より)
先日の「送料無料化実験」に引き続き、攻めの経営が続きます。
無料配布ということで、一昔前に世間を賑わせた「Yahoo! BB モデムばらまき事件」を思い出しました。今回も、ボディスーツ自体に価値はなく、ボディスーツを通して顧客を ZOZOTOWN に誘導し、固定客になってもらうことに大きな価値があるわけです。
その戦略には、スピード感が重要となってくるため、社長も「街頭やコラボ企業経由等、圧倒的な速度で世界中で無料で配りまくり、体重計や体温計のように一家に一台の存在にする」と明言しておられます。
ところで、数日前にこのような記事をアップしましたが、
最近、アパレルに力を入れる Amazon(アマゾン)も「身体測定」には興味を示しており、人間の身体情報を3次元で生成する技術で先行していた米 Body Labs 社を買収済みです。
こちらは、ZOZO のようにボディスーツを着て体型を測るのではなく、2次元の平面情報(写真など)から、身体の 3D モデルを推定して生成する技術であり、よりお手軽に「身体測定」可能です(ただし、当然のことながら、測定(推定)の精度はボディスーツよりも劣ります)。
ネットアパレルには、如何に返品率を下げるか、という課題がありますが、顧客の体型情報さえ入手できれば、返品率を大幅に低減できる可能性があります。ですので、手法の違いはあれど、各社が顧客の身体情報を入手しようとするのは、テクノロジが進歩した今の時代に当然の流れと言えます。
さらに、このような仕組みがスゴイと思うのは、自分にぴったりの服を買うことに慣れてしまった顧客は、二度とダボダボの服を着れなくなるだろう、ということです。つまり、体型が少しでも変化すれば、それに合う服がどうしても欲しくなり、購入の頻度が否応なく高くなる・・・かもしれない、ということです。
そして、以上のような「身体測定」の流れは、アパレルの分野に留まらないと思います。
体型を定期的にチェックし、その体型の変化を検出することで、様々なフィットネス用品や健康食品、フィットネスクラブや病院の情報などを顧客に提供できるようになります。
大抵の人は、定期的(あるいは衝動的)に服を買いますよね。
ボディスーツで体型を測定してから服を注文することに慣れると、その習慣からは二度と抜け出せなくなると思います。ということは、服を購入する際に、必ず体型を測定することになるわけです。これにより、企業側としては、顧客の身体情報を定期的に入手できるようになるわけです。
身体情報というのは、個人情報の中でもかなりレベルの高い部類に入ると思いますが、これを企業は定期的に入手できるようになるわけですからね。すごい仕組みです。
さらに、その次も考えてしまいます。
このような研究がどこまで進んでいるかは知りませんが、個人の身体情報(体型)とその人の信用情報(経歴、年収など)には、何らかの相関があるかもしれません。
個人の身体情報を集め続け、それぞれの信用情報と照らし合わせていけば、相関の有無が自然と見えてきます。
もし相関があるなら、個人の信用を推し量る上で、身体情報(体型)それ自体がすごく重要な要素となり、大きな価値を生み出すことになります。
目の前には、個人情報の海が果てしなく広がっています。
ZOZOSUIT の登場を聞いて、以上のようなことを考えてみました。