敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

TOKIO 山口達也「メンバー」の記者会見から学んだ危機・リスク対応メモ

 

 

理化学研究所などの分析によれば、日本人は過去100世代ほどかけて、お酒に弱い人が増えるように「進化」してきたらしいが、

 

ジャニーズのアイドルグループ・TOKIO の山口達也メンバーは、その進化から取り残されていたようだ。かく言う私も、その進化から取り残されている。

 

その山口メンバーが強制わいせつの疑いで書類送検されたというニュースが NHK に端を発したのは、イノッチの「あさイチ」降板や元 SMAP のレギュラー継続などをめぐる NHK とジャニーズとの確執が影響しているのかどうかは分からない。

 

中学生のムスメAは、新聞の社会面を何気なく開き、今回の記事を無言で読み、新聞を無言で閉じて登校していったが、被害女性とさほど年齢の変わらない彼女が何を考えて記事を読んでいたのかも分からない。

 

いろいろ分からないことが多いけれど、世間を賑わす大きなニュースだし、家族そろって「鉄腕 DASH」を見る機会も少なからずあるため、関連する記事や記者会見の映像などには、だいたい目を通した。

 

住む場所も世界もまったく異なるため、実生活に参考になることはあまりなさそうだけれど、「アイドル」という時代・社会の先端を行く人物やその属する企業が今回の問題に対してどのように対処するのかを見ておけば、「いま」という時代を把握するのに丁度良いのではないかと思って、自主的にメモっておくことにした。

f:id:nezujiro:20180427100420j:plain

「お酒」の強調

当初、所属するジャニーズ事務所から発表されたコメントは、以下の通り。

お酒を飲んで、被害者の方のお気持ちを考えずにキスをしてしまいましたことを本当に申し訳なく思っております。被害者の方には誠心誠意謝罪し、和解させて頂きました。

 

コメントの冒頭が「お酒」である。記者会見でも、お酒の話はたくさん出てきた。酩酊状態であったのは事実なんだろうが、「お酒のせいで・・・」という表現・言い回しが現在でもある程度通用するということは、勉強になった。

 

メンバーによる地ならし

NHK による報道から一夜明けた昨日、TOKIO の国分太一メンバーが、朝の情報番組で涙ながらに謝罪していた。「連帯責任」を強調する彼の姿勢に、メンバーで活動することの難しさを考えさせられた。

 

と同時に、メンバーの一員が、本人の記者会見に先立って「地ならし」的に謝罪できるというのは、メンバーで活動することの強みでもある。しかも、情報番組の司会を務めているため、わざわざ会見を開くことなく、たくさんの視聴者に向けて、割りと自然な形で地ならしできるわけである。

 

今後、グループで活動するアイドルやタレントは、メンバーの1人でもよいから、帯番組の司会や MC を務めておくのが、問題発生時に有利に働き得ると勉強になった。

 

老練で柔和な弁護士

山口メンバーの記者会見には、白髪の弁護士も同席して、コメントを発表したり、山口メンバーが詰まったところで助け舟を出したりしていた。

 

報道によれば、ジャニーズ事務所の顧問弁護士であり、過去には、同じジャニーズ所属であった草彅剛さんの弁護を担当されたほか、石原慎太郎さんや日馬富士さんの弁護も担当された実績をお持ちとのこと。

 

そんな実績をお持ちなのに、記者会見の様子を見る限りは、「おじいちゃん」という風情で画面内の雰囲気を和らげる働きをしていたのではないだろうか。

 

子どもから中年、高齢者に至るまで、ファン層が幅広い TOKIO だから、老練ながらも柔和なイメージの弁護士さんで、全体を包み込むような印象となっていた。若すぎたりイケメンすぎたりする弁護士さんでは、こうはいかない(ゴメンナサイ)。

 

メンバーの勾配コメント

会見場では、TOKIO メンバーのコメントも配られたようだ。報道されているように、城島メンバー、国分メンバー、松岡メンバー、長瀬メンバーの年齢順でコメントが綴られていたようだが、その順番も勉強になった。

www.huffingtonpost.jp

 

各コメントの文字数をカウントしてみたら、城島メンバーが 273文字、国分メンバーが 256文字、松岡メンバーが 198文字、長瀬メンバーが 133文字と、見事な勾配であった。

 

4人全員が同じような長さのコメントでは、あとに行くほど冗長な感じがしてしまう。しっかりと謝罪しつつも、後ろ勾配でスッキリ感も出せていて、うまい。

 

コメントのストーリー性

上の4人のコメントを読んでみて、そのストーリー性が勉強になった。

 

城島メンバーのコメントは、やはりリーダーとしての「謝罪」が中心。国分メンバーのコメントは、リーダ―に次ぐ年齢の近さから、山口メンバーに対する「戒め」という感じ。松岡メンバーのコメントは、「ファンの皆様へ」という文言から分かるように、ファンとの「接点」のような役割。そして、長瀬メンバーのコメントは、「今後」に触れている。

 

4人それぞれの役割や個性に応じたコメントとなっており、また、内容がなるべく重ならないように、「謝罪」から「今後」へと向かうストーリー性も帯びており、かなりしたたかに練られた一連のコメントという印象を受けた。

 

ここでも、メンバーで活動することの強みが見て取れる。

 

無期限謹慎

これについては、今回のようなケースの常套的な処分だろうけど、世間や本人の動向に応じて、謹慎期間を短くしたり長くしたり自由に設定できるので、便利なんだろう。

 

ただ、やはり疑問に思うのは、NHK の報道が出るまでは普通に仕事していたのに、報道後すぐに「無期限謹慎」という処分になったこと。会見によれば、事務所が把握してからそれなりの期間が経過している、のにである。

 

これでは、「報道がなければ、だまってるつもりでした」と宣言してしまっているようなもの。いろんな思惑もあることだろうけど、今後同じような事態の場合は、「報道よりも前に発表」という姿勢が、1つの論点になっていくことだろう。

 

おわりに

野次馬が確認できる範囲で、一連の対応に埋め込まれていそうな様々な戦略を考えてみた。まだまだあると思う。

 

企業としては、戦略的にならざるを得ないのだろうが、戦略的すぎると「誠意」がこぼれてしまう。その辺りのさじ加減が難しいんだろうね。

 

私としては、46 歳のオジサンの、もっと素直な言葉を聞きたかった気がする。

 

ちなみに、「勉強になった」は、ほぼアイロニーである。

 

- 敏感の彼方に -