敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

信用スコア + ブロックチェーン =【スコアが売買される未来】

 

 

半年ほど前の 2017年9月、個人情報を人工知能(AI)で評価し、その人の信用力を点数化して融資枠を決定するサービス(いわゆる「スコア・レンディング:Score Lending」)が、日本で初めて始まりました。

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しかし、中国などでは、すでに数年前から展開されているサービスです。

 

「信用スコアリング」が浸透する中国

その中国では、「信用の可視化」がものすごいスピードで進展しています。たとえば、

  • 取引記録(ネットショッピング・振り込み・決済など)
  • オープンデータ(学歴・公共料金支払い履歴・ブラックリスト情報など)
  • 個人登録データ(勤務先・不動産情報・免許証など)

などが融合され、一人ひとりの「マイスコア」がはじき出されます。

 

そして、スコアが高いほど、融資枠の拡大であったり、敷金の免除であったり、各種デポジット(保証金)の免除であったり、ビザ申請手続きの簡素化であったり、さまざまなサービスを優先的に受けられるのみならず、結婚仲介サービスでのスコア利用により、お見合いや結婚を優位に進められる利点などもあります。

 

高速道路や駐車場の利用にも「信用」

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一方、つい先日、電子決済サービス大手のアリペイ(支付宝)と WeChatペイ(微信支付)は、高速道路の料金所でナンバープレートを自動識別して高速料金を自動決済するサービスを開始する、と発表しました。街中の駐車場などではすでに導入されているサービスですが、これが高速道路にも応用されて、ETC やスマートフォンが無くても、ノンストップでキャッシュレス決済できるようになります(ETC 車載器を持たないボクとしては、日本でも早く実現して欲しいサービスです)。

 

中国といえば、「顔認証決済」も怒涛の勢いで進んでおり、多くの銀行やスーパー、飲食店、病院などでは、顔を端末にかざすだけで決済や支払いが可能となっています。つまり、「顔パス」社会になりつつあるわけです。

 

高速料金の自動決済は、このような「顔パス」を自動車にも適用し、自動車の「顔」であるナンバープレートを決済コードとして利用することになります。

 

でも、人間の顔と異なり、車のナンバープレートなんて簡単に偽造できるんじゃないか?という疑問が湧いてきます。他人の車のナンバープレートを付けて料金所を通過すれば、料金はその「他人」に請求されるわけですからね。

 

そんな疑問を解消するのに利用されるのも「信用スコア」です。信用スコアが一定の点数以上なければ、この高速料金自動決済サービスは利用できません。「信用スコアが高い = 偽造などの不正をはたらく可能性が低い」という見立てなんでしょう。

 

総じて、真面目に道徳的であれば様々なサービスという「インセンティブ」が付与される「マジメちゃん社会」がますます進んでいるような印象を受けます。

 

信用スコアとブロックチェーンの融合

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以上のように利用が急拡大している「信用スコア」は、今後ますます社会の「インフラ」となっていく過程で、改ざん防止や集中管理の負担軽減を目的として、ブロックチェーン技術との結び付きが必然的に強くなっていくことでしょう。

 

一方、中国では、政府や企業が「信用スコア」のインフラ化に躍起になっていますが、それは要するに、個人の管理や個人情報の収集を進めたい思惑があるからです。そのために、さまざまなサービスやインセンティブを用意して、信用スコアの普及を強く後押ししています。

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そのようにインフラ化が進められている「信用スコア」がブロックチェーンと結び付けられる過程では、当然こんなことも考えられるのではないでしょうか?

 

「信用スコア」が売買される未来

信用スコアのインフラ化を進めるため、さまざまなサービスやインセンティブが提供されているわけですが、さらに強い動機付けを考えるなら、信用スコアに実体以上の価値を付与すればよいのです。つまり、仮想通貨のように信用スコアをトークン化して売買取引できるようにすれば、信用スコアは自然に「値上がり」していき、それに引きずられてスコアのベースとなる信用情報もさらに集まるようになります。その点でも、ブロックチェーンとの結び付きは強くなると考えられます。

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ただし、売買といっても、スコアの低い人がお金の力などでスコアを購入できるようになるのは、社会が混乱したり信用そのものが失墜したり、といった結果を招く可能性がありますので、あまり現実的ではありません。

 

おそらく、この場合も、スコアの高い人(すなわち、信用できる人)だけが「スコア購入」というインセンティブを与えられるのではないでしょうか。このようにすることで、社会の混乱を抑えつつ、信用スコアの希少性がさらに高まって、人々はますます信用スコアへと引き付けられるようになります。

 

そして、その結末は・・・もはや後戻りできないほどの格差の拡大でしょうね。信用スコアの高い人にはますます多くのスコアが集まる一方、スコアの低い人は現状維持がやっとのことで、多くはスコアが目減りしていく。そうやって信用面の格差が急激に拡がり、それが経済的な格差となって現れる。何となく、そんな未来が透けて見えます。

 

まとめ

2017 年5月に登場して話題になった VALU(バリュー)も、広い意味で、ブロックチェーンに基づく「信用スコアの売買」です。

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これは、Twitter のフォロワ数などに基づいて、誰でも、株式に見立てた VA(Bitcoin ベース)を自由に発行し、資金を集めることができるサービスです。また、VA を購入した株主(VALUER)が VA を売買取引することで、時価総額も日々変動します。

 

ただし、『有名人「仮想通貨やらない」理由ランキング』という記事にも書いたように、この VALU サービスがいまいち停滞しているのは、信用スコアに相当する「VA」のベースが SNS(フォロワ数など)に限られており、「インフラ」と呼べるレベルになく、発行や売買の必然性に乏しいためです。

 

これが、中国のようにインフラ化しつつある「信用スコア」がベースとなるなら、話は変わってきます。信用スコアが完全にインフラ化したあかつきには、もはや誰もそれを無視できなくなります。人々は否応なく、「信用」の売買に引きずり込まれていくのではないでしょうか。

 

このように「信用スコアリング」が浸透している中国ですが、当然、個人情報が吸い上げられることに対する違和感を持っている人もたくさんいます。でも、その違和感を吹き飛ばしてしまうほど、サービスやインセンティブが充実しています。リスクよりも便益(利便性)が上回ると、人間はいとも簡単にリスクを忘れ去ってしまいます。それだけ便益が高いわけですから、今は中国が先行しているものの、やがて世界や日本にも、さほど抵抗なく浸透していくのでしょう。

 

好むと好まざるとに関わらず、そんな未来がやってくるのではないかと考えます。

 

 

 

 

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