敏感の彼方に

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子どもの花粉症治療は夏~秋がおススメ!「免疫療法」の中身と対応病院

 

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「花粉症」といえば、スギ花粉が飛散する春に発症するのが一般的です。

 

春は、ひどい目のかゆみや腫れ、止まらないクシャミに悩まされ、大人も子供も通院が欠かせなくなります。現在、スギ以外の花粉症も含めると、花粉症の有病率は3~4割とも言われており、もはや国民病となっています。

 

当然ながら、子供の患者も増え続けており、勉強のみならずスポーツや遊びもままならなくなるほど症状が悪化する場合もあります。

 

これに対して、スギ花粉が飛散しない夏~秋にかけて、微量の花粉を身体に取り込むことで体質改善を目指す「免疫療法」が注目されています。

 

花粉症の原因と一般的な治療法

スギ花粉症は、身体に入り込んだ花粉を異物と見なして追い出そうとする「免疫反応」が過剰にはたらいた結果として起こるアレルギーの一種です。

 

一般的には、点鼻薬や内服薬で目のかゆみやクシャミを抑えたり、鼻の粘膜のレーザ手術で症状を軽くしたり、といった「対処療法」で乗り切ることが多いと思います。また、マスクでなるべく花粉を取り込まないようにします。

 

ただし、あくまでも対処療法ですので根治されるわけではなく、マスクでも限界があるため、毎年、通院したりお薬を購入したり、といったことが必要なります。

 

アレルギー疾患の治し方

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花粉症のようなアレルギー疾患は、子供が成長すると、アレルギーマーチといわれるアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくを中心として、いろんな症状が出てきたり、場合により重症化することもあります。

 

上に挙げた対処療法では、その時は症状が一旦軽くなったとしても、アレルギー体質から脱却したわけではありません。そのような体質は、大きくなればなるほど、改善するのに長い年月を要することになります。

 

そこで、子供の成長前にアレルギーの「芽」を摘む「免疫療法」に期待が高まっています。子供のうちに体質を改善してしまおうというわけです。

 

免疫療法とは

免疫療法」とは、アレルゲン(花粉)を数年単位で少しずつ体内に取り込むことによって、過剰な免疫反応を段階的に抑える体質改善方法です。

 

この方法は、50 年以上も前から、注射による治療としては行われてきたのですが、2014 年から、薬剤を舌の下に置くだけの「舌下免疫療法」に健康保険が適用可能となり、徐々に広がってきています。

 

2018 年6月には、12歳未満の子供にも使える錠剤「シダキュア」も待望の保険適用となって、大人と同じ効果を期待できるようになりました。

 

その「舌下免疫療法」では、苦手な子も多い注射の必要がありませんし、舌の下には、アレルギー反応を示す細胞が割りと少ないので、アナフィラキシーショックなどの副作用も起こりにくい、という利点があります。

 

免疫療法の実施方法

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画像引用:「アレルゲン免疫療法.jp」より

 

たとえば、花粉が入った錠剤タイプの薬剤であれば、1日1回、以下のようにして服用するだけです。とても簡単ですね。

 

  1. 舌の下に1錠を置く
  2. そのまま薬が溶けるまで1分間ほど待つ
  3. 溶けた薬をつばごと飲み込む

 

免疫療法を受けられる医療機関

「舌下免疫療法」で使用する薬剤を処方できるのは、事前に講習を受けた医師に限られています。また、処方してもらえるのは、血液検査などで「スギ花粉症」と診断された人だけです。

 

ちょっと特殊な治療ですので、どの医療機関でも診てもらえるわけではありません。免疫療法に対応する最寄りの医療機関は、鳥居薬品(株)の情報サイト『アレルゲン免疫療法ナビ』の中の、以下のページで調べることができます。

www.torii-alg.jp

 

診察や検査の費用はもちろん必要ですが、薬代については、3割負担で月額 1300円程度とお手頃です。また、多くの市町村で、小児医療費の減免制度がありますので、それを利用すればさらにお安くなります。

 

舌下免疫療法の対策効果

錠剤「シダキュア」の保険適用が始まったことで、小学生以下のたくさんの花粉症有病者も治療を始めているようです。

 

「シダキュア」を服用した小学生以下の子供たちの対策効果がはっきりするのは、2019年の春以降になりますが、中学生以上の子供については、うちの子も含めて、症状が年々軽くなっていったり、内服薬や点鼻薬、マスクまでもが要らなくなるほど改善するケースも出てきているようです。

 

舌下免疫療法の注意点

何かと利点の多い「舌下免疫療法」ですが、注意点もあります。

  • 治療開始は、スギ花粉が飛散しない6~12月(特に、夏~秋)に限られる。
  • 治療の翌年から効果が見られる場合が多いものの、毎日、3~5年間続けることによって、体質改善がより確実なものとなる。
  • 口や喉のかゆみや腫れが出たり、まれに重度の副作用が出ることもある。
  • 治験により、薬が効かない人が2割程度いることが分かっている。

 

 

 

さいごに

まだまだ改善すべき点もある「舌下免疫療法」ですが、上手く作用すれば、内服薬にも点鼻薬にも、さらにはマスクにも頼らずに快適な春を送ることができます。

 

お子さんの花粉症でお困りの方は、ぜひ一度ご検討の上、お近くの免疫療法を扱う医療機関に相談してみてくださいね。

 

 こ 

 

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