敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

HSP とは何か?その原因と付き合い方【特徴をメリットに変える方法】

 

HSP とは、病名のことではなく、感受性が生まれつき強く、ちょっとした環境の変化や他人の気持ちにとても敏感なため、五感の強い刺激や他人とのコミュニケーションに圧倒され、すぐに疲れてしまうタイプの人を表す心理学用語です。

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もう何年も前から、「HSP(Highly Sensitive Person:ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉は、かなり一般的な用語になってきていますね。検索すれば、関連するサイトが大量に現れます。

 

HSP の現状・・・自称 HSP が増え続ける理由

社会の格差が拡がって生きづらさが増す中、その状況に後押しされるように、芸能人やモデル、作家などがテレビや Youtube で「HSP」をカミングアウトする機会が増え、今まで HSP のことを知らなかった多くの層にも認識されるようになりました。

 

また、HSP を専門とする多くのカウンセラーが、ネットや SNS 上でご活躍です。

 

そんな HSP の提唱者である米国の心理学者 Elaine N. Aron 氏(アーロン博士)のホームページでは、HSP であるか否かを簡単に診断できます。

 

アーロン博士が HSP を提唱したのは 1996年であり、その当時の研究では、5~6人に1人が HSP に該当することが分かっていました。しかし、SNS の発達でコミュニケーションの機会が増えたこと、刺激を求める風潮、競争が激しいビジネスによるストレスなど、提唱当時とは社会的状況が大きく異なっており、自分を HSP と感じる人の割合は、当初の「5~6人に1人」より高くなっていても不思議はありません。

 

そんなわけで、「私も HSP だ!」「僕も HSP だ!」というように、「HSP」という言葉をある種の「救い」「お守り」「自己防衛」として使う人が増えているように感じます。

※ HSPは、病気ではありません。不調の原因が HSP ではなく病気なら、治療が必要です。
 ⇒『【それはHSPではなく病気です👉治療を】自己判断で病気を放置する危険

 

HSP の原因と付き合い方・・・前向きに生きる方法

脳科学の分野でも、HSP に関して、以下のようなことが徐々に分かってきています。

  • HSP は、脳の扁桃体(恐怖や不安を感じる部位)の働きが生まれつき強い
  • 偏桃体の働きには、個人差がある
  • HSPは、セロトニン(偏桃体の働きを抑える神経伝達物質)を運ぶ働きも弱い

 

いずれにしろ HSP は、繊細で感受性が強く、刺激や他人の感情にとても敏感なため、常にストレスを感じながら生きています。「何となく生きづらい」という感情をいつも抱いています。

 

ただし、HSP は、脳の特性として生まれ持った気質であり、年齢やストレスなどで後天的に現れるものではありません。つまり、幼少期からずっと生きづらさを感じており、基本的には、治療や投薬でどうにかなる類のものでもなく、上手く付き合っていくしかない「性格」のようなものなのです。

 

そこで、HSP の特徴と、その特徴を前向きにメリットとして活かしながら人生を送るヒントをまとめてみたいと思います。この記事が、HSP に苦しむあなたの助けになれば幸いです。

 

 

 

HSP の特徴とメリット

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それでは、HSP の特徴と、その特徴をどのように生かしていけば良いのかについて、いくつかの特徴を挙げながら説明していきます。

 

他人を困らせたくない 👉 「優しさ」「利他」を最大限に活かす

HSP の最大の特徴と言えるのが、「共感しやすさ」です。ミラーニューロンという神経細胞の働きで、誰かが怒られたり悲しんだりしているのを見ると、自分も同じように怒られたり悲しんでいる気分になってしまいます。

 

このように、周囲の人と同じ感情を共有するわけですから、そもそも、他人を困らせるような言動にはなり得ません。HSP にとって、他人を困らせるということは、自分自身を困らせることと同じだからです。

 

この特徴から、HSP には、以下のような共通点が見られます。

  • 反抗期がない
  • ケンカや競争などの争いごとを好まない
  • 結婚・育児に向いている

 

反抗期は、親を困らせます。ケンカは、相手を困らせます。競争は、相手を負かす可能性があります。HSP にとっては、これらすべてが苦しいことであり、なるべく避けようとします。

 

結婚は、パートナーに対する気遣いや歩み寄りがなければ上手くいきません。育児は、子どもの立場で気持ちを理解してあげると上手くいくことが多いです。結婚も育児も、相手を困らせないようにする「思いやり」が基本ですから、HSP には割りと普通のことだったりします。

 

以上のことは、「優しさ」「利他」という言葉で表せます。この忙しく殺伐とした時代に、「優しさ」「利他」という輝きを放てるのは、HSP として生きる最大のメリットかもしれません。人の悲しみや苦しみに寄り添える「真の強さ」が HSP にはあります。

 

ただし、相手に感情移入しすぎて、疲れ果ててしまっては意味がありません。HSP は、頑張り過ぎないように意識することも大切です

 

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音・光・痛み・映像などの刺激が苦手 👉 穏やかな世界を創れる

HSP は、大きな騒音、眩しい光、激しい痛み、災害や事件の報道映像、映画やドラマの暴力的なシーンなど、刺激の強いものがすべて苦手です。外からの刺激を強く受け止め、それにいちいち反応してしまうから疲れるのです。そして、記憶にいつまでも残り続けます。

 

また、人にも依りますが、コーヒーなどのカフェインも苦手な場合があります。中枢神経が刺激され、心拍数の増加や不安感、不眠につながるからです。

 

一方、ネットや SNS の世界に顕著ですが、特に非HSP の人は、平凡な日常に飽き足らず、次々に新しい刺激を求めようとする傾向があります。良し悪しは別として、非HSP は、外からの刺激に鈍感で記憶も失いやすいため、人生や生活のアクセントとして、一定の刺激を楽しみたいと考えるからです。

 

ただし、数々の炎上案件に見られるように、刺激を求める行為がエスカレートした結果として、他人に迷惑を掛けたり、場合によっては違法行為に関わってしまう場合もあります。

 

刺激が苦手な HSP は、このような暴走を食い止める役目を担えます。一人ひとりの力は小さくても、社会全体として、HSP の人々の声や姿勢が一定の歯止めになる場面は多々あります。

 

人混みが苦手・ひとりの時間が必要 👉 独自の発想が生まれる

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HSP は、周囲からの刺激に敏感なので、大勢が一斉に動き、しゃべり、感情を表現する人混みでは、情報の入力が多くなり過ぎて、一種のパニック状態に陥ります。そして、人混みの中では、疲労感や不安感、緊張感を常に抱いてしまうため、人と関わった後には、一定のプライベート時間が必須です。

 

結果的に、HSP は、一人で過ごす時間が長くなります。これを寂しいと思うかどうかは人それぞれですが、筆者自身は、一人で沈思黙考することそのものが好きなので、特に不都合を感じません。それ以上に、メリットをたくさん感じてきました。

 

SNS も刺激が多いため、遮断してしまうことが多いのですが、そうすると、完全に自分一人の世界が訪れます。そのような静かな環境では、他人の手垢のついた発想や意見ではなく、独自の発想が生まれやすくなります。実際、仕事やスポーツの場面で、独自の切り口や解決策を見出し、それで大きな結果を残せたことも少なからずあります。

 

外界とのつながりが少ないため、変わり者に見られることも少なくありませんが、その点については、齢を重ねるにつれ気にしなくなりました (^^♪。

 

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細かすぎる 👉 「注意力」「観察力」を最大限に活かす

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HSP は、些細な点にも目が届き、ちょっとしたレイアウトの変化や状況の移り変わりにも気付いてしまうため、それをつい口にしてしまった結果として、「細かすぎる!」と煙たがられることも少なくないでしょう。

 

HSP としては普通のことなのですが、非HSP から見ると、確かに細かすぎるのかもしれません。ただし、これも考え方次第でメリットになります。非HSP が見逃してしまうような細かいことにも気付けるわけですから、大きな武器になります。

 

仕事上、文章の作成や数値の計算では、ミスが少ないため、かなり重宝されます。重宝されるだけではなく、信頼を得やすくもなりますので、たとえばフリーランスであれば、顧客に気に入られる可能性大です。

 

細かな部分に気を配れるため、設計やプログラミングの仕事にも向いています。また、現状を詳細に分析して将来のリスクを考えることも割りと得意なことが多く、そのような HSP であれば、経営陣をサポートする立場としても非常に重宝されます。

 

ストレスを感じやすい 👉 成長が早い

これまで書いてきたように、HSP はいろんな刺激に敏感で、その分ストレスを感じる場面が多くあります。実はこれも、メリットになります。詳しくは、こちら(↓)をどうぞ。

www.overthesensitivity.com

 

 

 

さいごに

HSP は、その過敏すぎる気質を利用して、群れや集団を外敵や将来の危険から守る「見張り番」の役割を遺伝子レベルで担っている、という一説もあります。

 

実際には、そんなに大したことなど出来ないかもしれませんが、せっかく生まれ持った気質ですから、上手く人や社会のために利用できれば、と思う今日この頃です。

 

 

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