男女共同参画白書(平成30年版)によれば、 専業主婦世帯数は、ここ 20 年ほどでどんどん少なくなり、今や共働き世帯の半分ほどにまで低下しています。
これは全国統計なので、都市部に限れば、専業主婦世帯はもっと少ない印象ですね。しかも、この統計はあくまでも「雇用者」に限った話ですので、自営業者などを含めると割合は変化します。
専業主婦の理想と現実
とは言え、主要先進国に比べると、日本の専業主婦世帯はまだまだ多いようです。
勤労者の妻(第3号被保険者)であれば、保険料を支払わなくても老後に年金が支給されますし、パートとして働くにしても、一定の基準以下なら税制面の優遇を受けられますし、そういった特典を国策として設けたことで、高度成長期には「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という構図が出来上がりました。
でも、その構図は、バブル崩壊後の経済停滞で夫の賃金が伸び悩んだり下落したりする中で、上のグラフのように、徐々に変化してきているわけです。
一方で、子どもは親を見て育ちますので、自分の親が専業主婦だった女性は、それを割りと当たり前のように感じ、「夫の収入だけでは経済的に苦しい」という現実と、「自分も親と同じように専業主婦をやりたい」という理想との間で揺れ動くことになります。
この読売の記事は、かなり「ネタ」っぽい感じもしますが、 上に書いたような理想と現実のギャップを端的に表していますし、案外、こういう女性が世の中にはたくさんいるんじゃないかと思います(男性諸氏からの視線は厳しくなりがちですが・・・)。
男女平等が近づいたように見えても、女性の働きにくさや賃金の低さは未だに解消されていません。そのような社会なので、専業主婦になりたい女性がたくさんいても特に驚きはありませんし、むしろ専業主婦を目指すことの方が合理的にすら思えます。
かく言うボク自身の家庭も、「専業主婦世帯」カテゴリに入ります。
うちのスペック
- 収入は、読売の記事に登場する「美佳さん」の理想に近い
- 働き方は、雇用者だったり非雇用者だったり
- 子ども3人
- ボクの親は、共働き世帯
- ツマの親は、専業主婦世帯(軽いパート)
とまぁ、このような感じで、いつも額に汗しながら家庭を運営しております(💦)。
ツマの日常
とにかく体力があまり無く、近所の内科でたまに吸血鬼になったりしているような人なので、3人の子育てと家庭の切り盛りでいっぱいいっぱいのようです。
働いたら働いたで、逆に元気が出てくる面もあるとは思いますが、それはやってみないと分からないこと。結婚前には普通に正社員として働いていたので、別に働くことそのものがイヤなわけでもなく、客観的に見て、今の状態では働きながら子育ては厳しそうです。
とは言え、周りを見渡してみると、専業主婦世帯は1割あるかないかというところですので、PTA や自治会の仕事は、必然的に多く回ってきます。本人もその辺は自覚していますし、世の中がそういう「あ・うん」の呼吸で成り立っている面もありますよね。

ツマなりに世の中に貢献できることを探し求めて、子どもたちの通う学校を少しでも良くしようと PTA 活動や保護者参観、サークルなどに積極的に顔を出したり、地域の子育てサークルでボランティアしたり、習い事の保護者の仕事を多めに引き受けたり、忙しいママ友の子どもを見てあげたりしています。
なので、マンガなどに出てくる「ソファに寝そべって煎餅 🍘 を食べつつお尻をポリポリかきながらワイドショーを視て司会者にツッコミを入れる」ような姿は、ほとんど見かけません。結婚当初はあったような無かったような・・・今は皆無ですね。た、たぶん。
ボクの日常
基本的に、家庭と子どものことはツマに任せていますので、その安心感はかなり大きいです。

任せていると言いつつ、ボク自身もかなり家事・育児をやります(💪)。ツマの体力面に問題があることも理由ですが、それ以上に、家事や育児が単調すぎるからです。一般的な仕事なら、日々それなりに変化もありますが、家事や育児ってすごく単調で、ボクは専業主婦をやれません。そう思うからこそ、家事や育児に参入して、少しでも変化を付けています。たまにマイナス方向の変化も付けてしまいますが、最近はそれも大目に見てくれます。
また、休日に子どもを外へ連れ出したり、子どもの勉強を見たりするのもだいたいボクの仕事です。その理由は単純で、ボクの方が得意だからです。
ボクが家事や育児に参入するのは、自分の母親に言われたことも心に引っ掛かっているからです。ボクの母親はフルタイムで働いていましたが、それは自分が家に閉じこもりたくなかったからなんだそうです。そして、その立場から、義理のムスメが専業主婦になることを知った時には、「専業主婦は専業主婦で大変だから、そのことを察してあげて」と言われました。
その時は「ふーん」としか思いませんでしたが、今にしてみれば、確かに専業主婦は専業主婦で、特に精神的に大変かなと思います。外で働くのは厳しさもありますが、それだけの報酬や評価も味わえます。でも、専業主婦では、それらを感じにくいですし、真面目であればあるほど、外で働いていないことに引け目を感じるかもしれません。また、外からの「あなた働いてないよね?」圧力も少なからずあると思います。
何にしろ、人それぞれ立場に応じた色んな背景があるわけで、そういう相手の事情に沿って思いやる心が大切なんでしょうね。損得だけで物事を考えても仕方ないですからね。そもそも、ひとつ屋根の下で暮らすパートナーなのに、損得で物事を考えたくなんてないです。
専業主婦に望むこと
ツマは、たまに「働こうかな」と言いますが、ボクはそれをあまり望みません。体力的に難しそうですし、経済的にそれほど窮していないということもあります。金銭面だけを考えれば、ツマには申し訳ないけど、ボクが頑張って仕事を増やした方が効率的に収入を増やせます。
※ 「外で働く」ことそのものに意味を求めるなら、それは応援します。
このような状態で、専業主婦であるツマに望むのは、以下のようなことです。
戦友
今でこそ食うに困らない生活を送れていますが、結婚当初は、かなり危険な時期がありました。組織に属したり属さなかったり、そういう働き方を選んだため、結婚後すぐに貯金がほぼゼロになる事態となりました。
その上、明日の仕事もはっきりしないような状況だったため、自分自身の精神もかなり追い込まれていたと思います。そのような自覚すらないくらい、本当に切羽詰まっていました。あのままなら、離婚も視野に入ってきたと思います。

でも、たまたま運よく、窮地を脱することができたんですよね。本当に、ただの運です。そして、いざ窮地を脱して落ち着いてみると、パートナーが「戦友」に思えてくるのです。
ツマが特別何かをしてくれたわけではありませんが、「あの窮地を語り合えるのは、この人しかいない」ぐらいに思っています。それぐらい厳しい窮地でしたし、その窮地を一緒に乗り切った戦友でもあるわけです。
そもそも、結婚する前から不安定でしたので、よくこんなのと結婚したなぁと今でも思います。イケメンでも何でもないのに。
ただし、苦しい下積み時代を支えたくれたパートナーなのに、売れるようになった瞬間に切り捨てた芸人さんなんかの話もありますから、「戦友」と思うかどうかは人それぞれだと思います。まぁ、そういう芸人さんはすぐに見掛けなくなるような気もしますけどね。
自分が持っていないもの
ボクは HSP 気質です。
なので、細かなことや先のことを考えすぎてしまうことが多々あります(考える割りには、リスクも取りたがるヘンな性格です)。二の足を踏んだり、躊躇したり、逡巡したり、ということが日常の中にたくさんあります。慎重なのは良いことかもしれませんが、自分自身の気質のせいでかなり疲れてしまいます。
一方、ツマは、割りと大胆です。天然育ちの無鉄砲なところがあります。たまにヒヤヒヤすることもありますが、自分が持っていないもの、自分が持ち得ない性格というのは、そのヒヤヒヤを凌駕するくらい、ものすごく魅力的に映ります。
安寧
やっぱり、これですかね。外で働いて帰宅した時、そこに「やすらぎ」があれば、どんな困難も乗り越えられそうな気がします。逆に「やすらぎ」がなければ、帰宅しても、また出ていきたくなります。
特に、フリーランサーのように個人で働く場合は、パートナーや家族の存在が力の源泉にもなりますから、ますます「安らぎ」が大切になってきます。
ちなみに、男が女に「やすらぎ」を求めるだけではなく、女が男に「やすらぎ」を求めるパターンだって十分に考えられます。
婚活中の女性にひと言

この記事は、一個人の経験に過ぎませんが、今後希少になりそうな「専業主婦」という生き方を近くで見ているパートナーとして、思っていることをまとめたものです。専業主婦を目指して婚活中の方にも、「こんな妻像もあるんだね」ぐらいに思ってもらえれば幸いです。
ボク個人の経験なので大して参考にはなりませんが、「専業主婦」というのは、最初からその地位を狙うものではなく、結果的についてくるもの、ぐらいに思っておくぐらいがハッピーなんじゃないかと思います。
ボクのツマに関して言えば、無鉄砲な性格だから不安定な男と結婚してしまい、無鉄砲な性格だから HSP な男の足りない部分を補うことができ、その結果として専業主婦になっているだけのことです。単なる偶然ですし、人生のどこかで少しでも違う方向に進んでいたなら、この「今」はありません。それほどに「運」でしかないと思うわけです。
さいごに
この記事がツマの目に触れないことを願います。