敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

はあちゅう女史の記事を読んで「SNS は要らない」と思いたい件

 

 

Google の検索窓に「はあ」と入力すると「把握」よりも上にサジェストされるほど有名なブロガー・作家・ネット界の料理評論家「はあちゅう」さんのオピニオンが朝日新聞(紙版)に掲載されていたので、紙版に多い高齢読者にはどこまで理解できるのだろうとハラハラしながら読んだ(デジタル版は途中まで)。

www.asahi.com

 

でも、たぶん大丈夫だ。高齢者は、カタカナ文字(インスタやタイムバンク)の部分はよく分からないとしても、「要は、お化粧なり何なりして(盛って)人気を集めて、それで儲かれば価値(勝ち)っていうアイドルとファンの関係みたいなものね」と理解するだろう。これの何が新しいことなのか、戸惑いすら覚えるかもしれない。

 

よく言われるのが、「ネットや SNS は承認欲求を満たす場」ということ。紙面上で、はあちゅうさんの下に掲載された宮台真司さんのオピニオンの通り。

 

ネットや SNS が無かった頃、自分を承認してくれるのは「半径5メートル」の家族や、せいぜい半径数百メートルの友人たち。それが、ネットで世界がつながった結果、自分を承認してくれる可能性のある相手の存在範囲が半径2万kmにも広がり、その広野の中に必ずや自分を承認してくれる人がいると信じて多くの人が開拓の旅に出るようになった。

 

開拓の旅の中では、開拓者が互いに承認し合えば基本的にはすべての開拓者の「いいね!」が同じ数になるのだが、少しずつバランスが崩れていき、人気の高低の差がついてゆく。これは、開拓者本人の努力や継続期間なども影響するだろうが、何か見えない力に左右された結果としての運命と言えなくもない。そして、人気が相対的に高くなった開拓者を「インフルエンサー」と言い、人気が相対的に低くなった開拓者を「インフルエンシー」と言う(たぶん)。そして、インフルエンサーにお金が結び付いたら、それが「職業」になる。

www.overthesensitivity.com

 

今年の流行語大賞に選ばれた「インスタ映え」や、「いいね!」なんてのは、その承認開拓の旅の中で必然的に現れたものであろうが、「映える」ことの元祖は、郵便局の野望もあって確立された「年賀状」というシステムの最近の姿なんじゃないかと思う。単に、承認を集めるバトルフィールドが、年賀状からネットに移行しただけだ。

 

ただし、当たり前のことだが、年賀状というのは、年1回しか使えない承認回収装置である。対して、インスタなどの SNS は、頻度が明らかに違う。高頻度になると、同じことをアップしていても当然飽きられてしまうので、変化が求められる。変化が必要だから盛る。これは当然の流れだ。

 

高頻度の承認回収装置である以上、それを「盛ってる」「幸せ偽装だ」と非難することに意味はない。盛って偽装しなければ作動しない装置だからそうしているに過ぎない。それが嫌なら、その装置から距離を置くしかない。はあちゅうさんやその他多くのインフルエンサーは、その世界で然るべき生き方をしているだけだろう。

 

ところで、年賀状は頻度が低いから、承認のやり取りにストレスがあったとしても然程のダメージはない。SNS も、遠くの誰か分からない相手と関わっている限り、その距離がダメージを和らげてくれる可能性がある。

 

一方で、物理的な距離が近い人間とやる SNS はどうだ? そのコミュニティの中で、強く自己主張できる勇気なんて持てるだろうか(少なくともこの日本で)。SNS でつながっている人間と、リアルの世界で取っ組み合いのケンカができるだろうか。難しい。難しいなら、そのコミュニティでの人間同士の付き合いはますます表面的になり、平均的な意見だけがただ意味もなく漂流しつづけることになる。平均的な意見しか言えなくなった人間が、果たして人工知能(AI:Artificial Intelligence)に勝てるのか?

 

 

 

という長々と考えたことを登校前のムスメAに伝えようとしたら、もう家を出たあとだった。SNS を軽く嗜むムスメAに、SNS を微妙に嗜む程度のボクが言えることなど、本当は大して無い。ただ、ブログで承認を貪る現実を尻目に、「SNS は要らない」と思いたい気持ちだけが先走る。

 

 

 

年賀状が下火になったように、インスタなどの SNS もやがて下火になる時がくる。でも、承認を集めようとする人間の開拓の旅は終わらない。いつか、宇宙のどこかに知的生命体が見つかったなら、「半径数十億光年の承認回収の旅」が新たに始まることになるのだろう。宇宙人に承認を求めて。

 

最後に。

はあちゅうさんの記事と並んで掲載されていた ITジャーナリストのオピニオンの中に、「SNS餓鬼」という言葉があって気に入った。SNS キガ(飢餓)と SNS ガキの関係を考えると面白いかもしれない。「映えない」だろうが。

 

 

 

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