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【更新中!】「大学入学共通テスト」問題・対策・変更点などを総まとめ

 

 

2021年春の大学入学予定者(2020 年度の受験生)から、国公立大学の入試が大幅に変更となります。従来のセンター試験に代わって、「大学入学共通テスト」が始まります。

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つまり、東京オリンピックの時に高3の人(2002~2003年生まれ)が、センター試験の代わりとなる「大学入学共通テスト」を初めて受験することになります。

 

センター試験からの試験内容の主な変更点は、以下の通りです。

  • 英語 : 現在の「読む」「聞く」に「書く」「話す」を追加
  • 国語・数学 : マークシート式に記述式を追加

 

2017年5月には、大学入試センターから、記述式の問題例が発表されました(国語と数学それぞれ2問ずつ)。 また、同7月には、マークシート式の問題例も発表されました(国語と数学それぞれ2問ずつ)。

 

着々と切り替えの準備が進んでいる印象ですね。

 

この記事では、試験内容のほか、試験日程、試験時間、評価方法など、センター試験から大学入学共通テストへの変更点をまとめた後、記述式/マークシート式の問題例と対策などについて簡単に触れたいと思います。

 

センター試験から大学入学共通テストへの変更点

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■ 試験内容

 【国語】【数学】

上に書いたように、マークシート式に加え、記述式の問題が導入されます(後述)。

 

【英語】

民間試験を活用して、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を評価します。ただし、混乱を避けるため、当初4年間(2023年度まで)は、大学入試センターが作る2技能(読む・聞く)のマークシート問題も併用される予定です。

 

【地理歴史・公民】【理科】

引き続きマークシート式ですが、2024年度からは、記述式問題の導入も検討の俎上に上っています。

 

 ■ 試験日程

センター試験では、1月中旬の2日間が試験日となっています。

 

大学入学共通テストでも、同じく1月中旬の2日間が試験日です。

 

ただし、英語(民間試験)については、高校3年の4~12月に受けた試験(受験回数は無制限)のうち2回分までが大学に送られます(たった2日間では、全受験生の4技能を評価することなど不可能ですので)。

※ 浪人生の場合は、前年度(高3時)の成績も含めて、計4回分までが大学に送られます(前年度の成績を認めるかどうかは、各大学の判断になります。)。

 

なお、民間試験としては、現在のところ、「ケンブリッジ英語検定」「英検(新型)」「GTEC」「IEL TS」「TEAP」「TEAP CBT」「TOEFL iBT」「TOEIC」の7団体8種が審査に合格しています。

 

■ 試験時間

【国語】

センター試験では、マークシート式のみの 80分ですが、大学入学共通テストでは、記述式の導入に伴い、100分に延長されます。なお、記述式の出題範囲は、古漢を除く「国語総合」となっています。

 

【数学】

センター試験では、マークシート式のみの 60分ですが、大学入学共通テストでは、記述式の導入に伴い、70分に延長されます。なお、記述式の出題範囲は、「数学I」です。

 

■ 評価方法

センター試験では、マークシート式のため、1点刻みの採点となっています。

 

大学入学共通テストでも、マークシート式の問題は、1点刻みの採点です。

 

ただし、記述式の問題については、3~5段階の段階別評価になります。

 

また、英語(民間試験)については、素点と国際基準規格「CEFR(セファール)」に基づく段階別評価(6段階評価)が用いられます(CEFR = Common European Framework of Reference for Languages : 欧州言語共通参照枠)。

 

■ その他

2017年11月と 2018年2月に、第1回試行調査(プレテスト)が実施されました。また、2018年11月には、第2回試行調査(プレテスト)が予定されています。

 

これらのプレテストの結果を踏まえて、さらに詳細が固まっていくでしょう。

 

 

 

記述式の問題例と対策

記述式の問題例と正答例(国語と数学それぞれ2問ずつ)については、大学入試センターのサイトに詳しく掲載されています(↓)。

「大学入学共通テスト」 記述式問題のモデル問題

 

■ 国語

問題例1では、行政機関の広報資料に対する話し合いを基にして、さまざまな意見(提案書含む)を読み解いていく必要があります。そして、読み取った情報を分析・加工し、字数制限などの条件に応じて表現していく力が求められます。

 

また、問題例2では、「契約書」という実社会との関わりが深い文章を場面の中で的確に読み取り、設問中の条件として示された目的等に応じて表現していく力が求められます。

 

センター試験では評論や小説が使われていますが、これとは趣きが大きく異なり、頭の中で処理すべき情報量も多く、何より、どの設問でも字数制限があるため、日ごろから記述に慣れていないと時間が足りなくなりそうです。

 

日々の学習の中で、自分の考えを持つ、他人の意見もしっかりと聞く、多様な意見をまとめる、まとめた考えを文字にする、という作業の繰り返しが大切になると思われます。また、字数制限内で記述をまとめる訓練も必要です。

 

■ 数学

問題例3では、与えられた条件下で三角形が複数できる場合について、二次方程式の解の存在範囲に着目する方法と図形的に捉える方法の両者を比較したり、三角比の知識と結びつけたりする応用力が問われています。

 

また、問題例4では、世の中にある具体的な事例を題材としています。問題の意味を数学的に捉え、学んだ知識と結び付け、回答を組み立てて記述表現する力が問われています。

 

登場人物がいて、その考え方が示されている点はセンター試験と異なりますが、問題自体は、数学的な発想力というより、持っている知識やテクニックで解けそうですから、センター試験に対応できているのであれば、それほど困ることはなさそうです。ただし、記述式の回答は、従来の暗記学習だけでは対処しきれませんので、簡潔かつ的確な表現で書けるように訓練する必要があります。

 

■ 記述式問題のまとめ

記述式問題では、頭の中にある考えを、短い時間で的確に表現できるかどうかがポイントになります。教科横断型の発展問題という視点では、レベルは異なるものの、現行の公立中高一貫校の適性検査が頭に浮かびました。

 

おそらく、センター試験の得点が高い層にとっては、記述表現に慣れていくことも大きな負担ではないでしょうから、この層の中で大きな差が生じることはなさそうです。

 

一方、中位層では、問題を十分に理解した上でないと記述表現もままならないため、負担が増えるものと思われます。曖昧な暗記だけでは、対処が難しくなります。

 

ですので、上位層とその下の層との差が開くのではないでしょうか。

 

また、このような変化をビジネスチャンスと捉える塾や予備校、私立中高一貫校などでは、生徒確保のためにも、すでに先行して対策に乗り出しています。

 

結局、受験のための勉強が増えてしまうのではないか、経済力によって教育格差が拡がってしまうのではないか、といった懸念はあります。

 

 

 

マークシート式の問題例と対策

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マークシート式の問題例と正答例(国語と数学それぞれ2問ずつ)については、大学入試センターのサイトに詳しく掲載されています(↓)。

「大学入学共通テスト」マークシート式問題のモデル問題例

 

大学入試センターの方針として、

  • 国語では、多様な文章をもとに,複数の情報を統合し構造化してとらえること
  • 数学では、日常や身近な課題を題材として数学を活用する場面を設定し、数学的な思考を深めること

という点が挙げられていますので、これらに沿った内容の問題となっています。

 

マークシート式問題については、各問題例から、どのような力が問われているかを簡単に紹介したいと思います。

 

■ 国語

問われているのは、こんな力です。

[問題例1]
  • 短歌についての2つの評論を比較し、その解釈や論理展開を理解する力
  • 短歌についての生徒たちの議論を読み、多様な意見を汲み取る力
[問題例2]
  • 現代に照らして古文を解釈する力
  • 古文を読んだ2人の対談から、考え方を的確に理解する力

 

■ 数学

問われているのは、こんな力です。

[問題例3]
  • 都道府県別の平均睡眠時間について、平均気温や通勤・通学時間との関係を多面的に考察する力
  • 問題の場面に応じて、データの傾向や変数間の関係を考察する力
[問題例4]
  • 3つの円とその交点を通る直線について,性質を見出し、証明や構想を立てる力
  • 図形の性質に基づいて、問題の本質を見いだす力

 

 

 

第1回試行調査(プレテスト)について

去る 2017年11月、全国約1,900校、延べ約 18 万人の高校2、3年生が参加して、第1回試行調査(英語以外)が行われました。また、2018年2月には、全国158校、約6,300人の高校2年生を対象として、第1回試行調査(英語)が行われました。これらについて、問題や正解表、問題のねらいなどが大学入試センターから発表されています。

 

www.dnc.ac.jp

 

今回の調査は、2020 年度から順次実施される学習指導要領の見直しに合わせて、十分な知識をもとにした思考力・判断力・表現力を意識したものであり、問題の形式や分量、試験時間などについて、本番をある程度想定したものとなっています。

 

第1回試行調査の全体的な特徴として、以下のような点が挙げられます。

  • 問題冊子のページ数がセンター試験から大幅に増加
  • 複数の資料を読み解く問題が多数
  • 「探求的な学び(アクティブラーニング)」を意識した問題が目立つ

 

特に、英語に関しては、センター試験と以下のような違いがあります。

  • リーディング(筆記)の問いが英語で出されている
  • 単語の発音やアクセント、文法・語法などの問題がなくなった(民間試験に託されたと解釈できる)
  • リスニングの読み上げが1回だけの問題がある(難易度も高い)

 

問題文・資料が多く、数学でも読解力が必要になりますし、全体として、思考力はもちろんのこと、膨大な情報を短時間で処理する能力も必要となる印象があります。このため、「時間が足りない」「今の高校の授業(知識偏重)では解けない」「(試験時間が長くなり)集中力の維持が大変」という声が聞かれます。上にも書いたように、センター試験の得点が高い上位層であれば対応できるでしょうが(それでも、かなりの慣れが必要です)、中下位層にはかなり厳しいテスト内容です。

 

実際、記述式問題では、国語の一部や数学全問で正答率が数パーセントに留まり、特に数学は、全問で無解答率が半数にも上りました。このままの難易度では受験生を選抜できないため、難易度の変更の可能性が大いにあります。

 

また、センター試験を受ける最後の世代となる本記事執筆時点(2018年夏)の高校2年生は、もし浪人になった場合、翌年には問題の傾向がガラリと変わるこの大学入学共通テストを受けなくてはならなくなります。そのリスクを避けるため、現役時の志望校のレベルを下げる生徒が激増することも予想されます。

 

おまけ「大学入試改革のここが心配」

センター試験の代わりとなる「大学入学共通テスト」については、以上の通りなのですが、個別選抜試験(いわゆる2次試験)については、ほぼすべての国公立大学がAO入試化すると言われており、従来のような学力テストのほか、小論文、面接、集団討論、プレゼン、内申書、資格等の成績、活動報告書、などが判断材料になりそうです。

 

従来の点数主義から、人物評価へと大きく舵を切ることになります。

 

これは、欧米のやり方を参考にしたものだと思いますが、たとえば米国の Ivy(ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学)に代表される有名私大では、エッセイや面接などの人物主義が定着しています。

 

この人物主義は、「育ち」の良し悪しがそのまま露呈する、と言われます。育ちの良し悪し、つまり「格差」が露呈する、ということです。この点が、日本の大学入試改革においても不安になります。

 

点数主義では、点数しか見ないわけですから、「人物」を見ようがありません。その点では、育ちがどうあれ、勉強さえ頑張れば、下剋上を実現できる可能性があるわけです。

 

人物主義になり、育ちの良し悪しが露呈してしまうと、それが具体的な評価項目ではないとしても、マイナス要素になって合格を得られず、結果的に格差の再生産が起こってしまいます。

 

点数主義では、学校で習ったことを入念に復習したり、自分で問題集を買ったり、せいぜい通信教育で補完する程度でも、やる気さえあれば結果がついてきます。

 

一方、人物評価では、たとえば小論文、面接、討論、プレゼンなどは、もやは自助努力で何とかなる範囲を超えてしまうのではないでしょうか(もちろん、学校でもそれなりの受験対策をしてくれるでしょうが)。塾や予備校で対策を受けた人が圧倒的に有利になりそうです。

 

自己推薦書など、自分で書くべき書類も、塾や予備校で徹底的に対策することになるのでしょうね。

 

内申書については、先生の主観で評価されるもの(態度や意欲など)も重要になってくるわけですから、(少なくとも表面的には)先生に気に入られようと努める生徒が続出しそうですね。高校生のころなんて、「大人に反発してなんぼ」という年頃じゃないですか? その態度を隠さなければならないなんて、不幸ですね。

 

新制度の詳細を詰めていく段階では、なるべく格差の再生産が起こらず、高校生がのびのびと(?)先生に「反発」できるような環境になることを願います

 

 こ 

 

 

 

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