敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

「信用スコア」の売買がもたらす完全「階級格差社会」は意外と江戸時代

 

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中国では 2014 年から、人々の「信用度」をスコアリング(点数化)するプロジェクトがスタートしており、民間企業も巻き込んで、着実に「信用社会」の構築へと向かっている。

 

信用(スコアリング)社会の構築

こちらの記事にも書かれているように、

wired.jp

 

ゲームを長時間やる人、K-POP の追っかけをする人、違法な美容整形手術に携わった医師などがスコア(つまり、信頼性)を下げられる、という冗談のような運用がある一方、高スコアの人は、医療施設を優先的に利用できたり、マッチングサイト(デートサイト)で優先的に相手を紹介してもらえたり、といった特典も豊富に用意されている。

 

このような政策の背景として、『ビッグブラザー』のような監視社会の構築という見方や、それよりも緩いエコシステムの構築という見方など、いろいろ意見が分かれる所だと思うが、少なくとも、お上に忠実で倫理的な人を優遇し、中国共産党による一党独裁制を維持するのに十分な社会秩序を確保しようという「管理社会」の流れであることは間違いない。約 14 億人もの人口を抱える国だからね。

 

「信用スコア」の売買

ところで、過去記事『信用スコア + ブロックチェーン =【スコアが売買される未来】』にも書いたように、これだけ「信用スコア」がインフラ化すると、スコアがお金と同等の役割を持ち得るから、ブロックチェーン技術と結び付いて、当然のごとく「売買」ということが視野に入ってくると思う。

 

www.overthesensitivity.com

 

日本でもすでに、広い意味での「信用スコアの売買」が行われており、1年ほど前に登場して話題になった VALU(バリュー) がそうなんだけど、残念ながら時代を先取りしすぎた感があり、日本社会の「信用スコアのインフラ化」が追い付いておらず、あるインフルエンサーの詐欺まがいの取引で瞬間的に沸騰した後は、話題になることも少なくなった印象である。

 

完全な「階級社会」「格差社会」の到来

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中国の今の状況は、政府(+アリババグループ)が国民をスコアリングして点数を付与しているだけなので、いわば「1 対 多」の状態である。

 

ここで、「信用スコア」の売買を可能にした場合は、当然ながら、低スコアの人間が高スコアの人間からスコアを買い取ることになるため、高スコアの人ほど、信用スコアに実体以上の価値が上積みされていき、ますます信用度が増していく。

 

そして、誰が誰からスコアを買い取ったかの履歴がすべて記録されることになるため、政府(あるいは、高スコアの一部の人)を先頭として、ブロックチェーンのような人間の序列が出来上がることになる。

 

現状の「1 対 多」の関係よりも、人間を鎖のようにつないでしまえば、誰が鎖のどの部分に位置するかもスグに分かるため、政府としては「管理」がはるかに容易になると考えられる。

 

すでに「モバイル決済」が浸透しまくっている中国だが、その「電子マネー」を「信用スコア」で置き換えてしまえば、もはや「貨幣(マネー)」も不要になるどころか、「信用スコア」の相対的な価値によって、それぞれの個人が利用できるサービスをきめ細かに区別・設定することも可能になる。

 

また、つい先日の Hagex 氏の事件以降、リアル化するネットの中に新たなバーチャル経済圏を構築し、承認された者だけが参加できるようにしてリスクを低減しようとする動きも出ている。このように「危険を排除する」システムの構築にも、「信用スコア」は大きな力を発揮することになるだろう。

www.asahi.com

 

以上のような点から、「信用スコアの売買」という流れは、十分にあり得るのではないかと考えるが、それが実現した暁には、完全な「階級社会(格差社会)」が到来する

 

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すべての国民が、自分より高いスコアの人を通して、「政府」という頂点を意識して見ざるを得なくなる。

 

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江戸時代のような風景か

スコアの売買のため、低い階級から高い階級へと「お金」が自動的に上がっていき、最終的には政府が、それらを見事に回収することもできる。このような効率の良い「上納金」システムも、「信用スコアの売買」を導入する大きなインセンティブとなり得る。

 

最終的には、幕府の独裁の下、身分や階級を定めつつ、一方では、ある程度自由な商売が認められた「江戸時代」のような景色がやってくるのかもしれない。

 

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そうなると、「信用社会」という何とも暗い響きの未来が、実は「意外と平和な社会」として、数百年にわたる中国版「江戸時代」に結実する可能性もある。

 

古代ギリシャの哲学者・プラトンは、その著作『国家』の中で、「優秀者支配制」→「名誉支配制」→「寡頭制」→「民主制」→「僭主独裁制」という国制の変遷を予言しているが、「信用スコア + ブロックチェーン」というテクノロジが入り込むことで、「僭主独裁制」とは一味も二味も違う「意外と平和な独裁制」という変遷の最終形が見えてくるような気もする(「最終形」は、さらにその先かもしれないけど)。

 

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さいごに

いずれにしろ、中国がスコアリングを推し進めたり、未来の可能性として「信用スコアの売買」を実現したりできるのは、「一党独裁」という政治体制の賜物である。

 

欧米諸国は、過去の「独裁」の悲惨で痛ましい結果に抗うべく、「民主主義」を標榜して「独裁」とは一線を画してきたが、「社会主義市場経済」という独特のシステムを突き進む中国は、そんな欧米諸国とも一線を画して、何とも興味深い未来を手繰り寄せようとしている。

 

まだまだブラックボックスな側面もたくさんある中国だけど、その 14 億人が生み出すエネルギーは、計り知れない爆発力を持っている。目が離せないね。

 

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