敏感の彼方に

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子どもを勉強好きにする方法 & 子どもを受験でつぶさない方法【実録】

 

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1980~90年代の「受験戦争」を経験した世代が親となり、その子どもが受験期を迎えるようになった昨今、「教育虐待」が新たな社会問題として浮上しています。

 

少子化の影響で、子ども1人に対する親の教育熱が高まっていたり、不安定な時代の中、子どもの将来を過度に心配したりする結果、特に苛烈な中学受験をめぐって、子どもの心が不安定になり、親子の断絶が生じ、家庭崩壊にまで至るケースもあります。

 

子供が勉強ぎらいにならないように

子どもの将来にとって、勉強はもちろん大切ですが、それで子どもがツブれて一生が台無しになるようでは、何の意味もありません。そうならないためには、親が子どもに勉強を押し付けることをやめ、子どもが自ら勉強を好きになって自主的に学習に取り組めるように「お膳立て」してやるのが一番です。

 

そこで・・・

現在、受験期の小中学生を抱える立場から、子どもが「勉強好き」になるまでの長~い道のりを実録として書き残しておきたいと思います。

 

 

 

子どもを1人の人間として尊重する

子どもを「勉強好き」にするには、その子が生まれた瞬間から、「1人の人間として尊重する」ということを決して忘れないことです。

 

子どもは、両親の遺伝子を受け継いで生まれますので、どちらか一方のコピーなどではなく、両親どちらとも違う人間である、ということをしっかりと認識しなければなりません。また、親の願望を実現するための道具でもありませんし、親の鬱憤を晴らすための道具でもありません。そういう考えは、ただの「服従」「飼育」でしかありません。

 

親の「勉強できて当たり前」「合格して当たり前」という価値観を押し付けていては、子どもが親の顔色をうかがうばかりで、自尊心がまったく育ちません。そのようなリスク大の状態で綱渡りを続けていると、足を少し踏み外しただけで大事故となってしまいます。

 

1人の人間として尊重してあげれば、子どもは綱渡りで生きていく必要などなくなります。そうやって安心を与えることが、自主的な勉強の第一歩です。

 

時代が違う

これは特に、受験2世・3世・・・に当てはまることですが、良い大学を出て良い会社に入ればゴール、という考えに固執するのは時代遅れです。親自身がそのように生きて成功していようとも、あるいは失敗して後悔していようとも、それは過去の話であって、今はそんな単純な時代ではありません。

 

会社は単なる「箱」となり、その「箱」の中で一生働き続けるのは、ごく一部の人間になろうとしています。「箱」に入っても、よほど有望でない限りは、40歳前後で会社から「不要」の烙印を押される時代です。そもそも、「箱」に入らない選択肢も増えています。日本の20~30年先を行く欧米を見ていると、組織に属さずに小さく起業したり、フリーランスとして生きていく人が徐々に増えていくのは間違いないでしょう。

 

時間の流れが速くなり、10年で社会状況が一変する時代です。自身の子ども時代から30年前後も経っている親は、頭を柔らかくして未来を見据え、自分の子どもをしっかりと観察して、どういう生き方が合っていそうかを一緒になって悩んであげましょう。

 

長い目で見る

勉強 子供 大切 何のため

 

人生は長いです。幼いころから、良かれと思って、習い事などをアレコレと子どもに押し付けたくなりますが、それでは、子どもが途中で息切れしてしまいます。

 

我が子の子育ての経験から、「文字や計算を早くから教え込まず」「親子で絵本をむさぼり読む」ということだけをやっていれば、それで十分に勉強が好きになって、ついでに成績も良くなる、ということを実感できました。

 

小学校に入るまで文字や計算を教えなければ、小学校に入ってから文字や計算をスポンジのようにグイグイ吸収していきます。子ども(人間)にはハングリー(飢え・渇望)が必要であることがよく分かりました。

 

絵本を貪り読めば、読んだ数だけ、子どもの頭の中にストーリーが蓄積されていきます。その中では、人の心にフォーカスしたもの、人生の機微を感じさせてくれるもの、自然の摂理を学べるもの、生き物の様子を観察するもの、乗り物や機械・電気の性質を学べるものなど、実に様々な世界が広がっています。これらのストーリーは間違いなく、あらゆる教科の学習の土台となります。

 

 

「やる気」スイッチを探る

子どもを勉強好きにしようと思うなら、自主的に勉強することが「習慣」となるようにお膳立てしてあげるのが効果的です。自分で勉強をして、それで成績が上がれば、必ず勉強が好きになり、さらに自主的に学習を積み重ねて・・・という好循環に入ります。

 

自主的に勉強するということは、つまり「自分の意志で行動する(=やる気)」ということです。自分の意志で行動するきっかけというのは、子どもによって千差万別だと感じています(我が子たちを見ていて、兄弟姉妹でも全然ちがいます)。

 

子どもが小さいうちから、子どもの「やる気」を育てる方法を、子育ての経験からまとめています(↓)。自分の子どもの「やる気」スイッチがどこにあるのかも探れるため、就学して勉強を開始した時点で、子どものスイッチを的確に押せるようになります。

www.overthesensitivity.com

 

まずはたっぷり寝る

学年にも依りますが、小学生で8~9時間、中学生でも7~8時間は寝ることが、勉強を好きになるための基本中の基本でしょう。大人でもそうですが、睡眠時間が短くては、気力も体力も決して充実しません。頭も働きません。

 

「成績の良い子はしっかりと寝ている」と昔からよく言われますが、これは睡眠時間そのものが成績に関係すること以上に、そのような生活習慣を保てることが好成績に結び付くことを物語っているのだと思います。つまり、睡眠時間を確保するということは、生活習慣や生活リズムが整えることとイコールなわけです。

 

toyokeizai.net

 

我が家でも、睡眠が何よりも優先されます。少なくとも中学生までは、睡眠時間を削ってまで勉強するなんて考えられません。中学校の定期テストでも同じです。勉強を好きになれば、テストの前日に一夜漬けすることも無くなりますので、自然に睡眠時間も確保でき、テスト時間中のパフォーマンスもしっかりと出せます。

 

親は背中で引っ張る

子どもに勉強を好きになってもらうのに、「好きになれ!」などと口でいくら言っても、それは反発を招くだけです。一番効果的なのは、読書でも資格の勉強でも何でも良いので、親が机に向かう背中を子どもに見せつけることです。

 

メリハリなくスマホやテレビにかじりつきながら、口先だけで「あれしろ、これしろ」と指示する親の姿を、子どもはしっかりと見ていますよ。

 

勉強を山登りに例えるなら、「登れ!」と言って子どもだけに登らせるのではなく、親が先頭を切ることで、背中を見せながら一緒に登山することが理想です。

 

「勉強しなさい」と言わない

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ほとんどの子どもは「天邪鬼」ですから、「勉強しなさい」などと親から言えば、大抵の子は勉強しなくなります。それにイライラする親はもっと「勉強しなさい」と言いますが、子どもはもっと勉強しなくなります。まさしく悪循環ですね。「勉強しなさい!」は、勉強嫌いの子どもを作る悪魔のフレーズです。これが循環の起点になりますので、最初の接し方を間違うと、容易に悪循環がスタートしてしまいます。

 

子どもは「天邪鬼」ですから、反対のことを言えばいいのです。「勉強はほどほどに」と言ってみましょう。ただし、上に書いた「背中で引っ張る」ということは絶対に必要です。親がスマホをいじりながら「勉強はほどほどに」と言えば、子どもの勉強は本当に「ほどほど」になりますので、ご注意ください。

 

ギャップに「萌える」のは、大人も子どもも同じです。昨日まで「勉強しなさい!」と言っていた親が、今日からは「ほどほどに」と言ってみたり、「勉強はほどほどに」と言う親が、自身は机にかじりついて猛勉強していたり、こういった「ギャップ」に子どもは萌えるでしょう。子どもが天邪鬼なら、大人も天邪鬼で対抗します。

 

学習の環境を整える

精神論だけではなく、勉強のための環境(仕掛け)も大切です。それは、場所と時間です。

 

場所」は、やはり「リビングルーム学習」が最強でしょう。もう、日本中に浸透していますので、今さらその効果を説明する必要もないでしょう。ただし、小学生も高学年になれば、親との衝突も増えてきますし、部活や習い事などで夜間の宿題や勉強が中心になってくると、食事やテレビ視聴などと重なってしまいますので、自主学習がある程度身に付いていることを確認できるなら、自室で勉強してもらうのが良いでしょうね。我が家の場合は、小6までリビングルームで勉強しています。

 

時間」は、「固定」か「自由」の2択です。いつも同じ時間に勉強するのが良いか、気分が乗った時に勉強を開始する方が良いかは、子どもの性格にも依るでしょうし、部活や習い事の有無も影響するでしょうから、その子どもに合わせて選べば良いと思います。

 

無駄を省いてやる

我が子たちは、公立の小中学校に通っていますが、その子たちの毎日の様子を観察していると、いつも時間に追われているようで、見ていてかわいそうになります。具体的には、休み時間や給食の時間が無くなるくらいに授業が延長されたり、「子どもたちのため」という思いに余る担任からの宿題がやたら多かったり、2020年度からは小学校でも英語やプログラミングが本格的に導入されたり、といった具合です。

 

はっきり言って、勉強が好きになってある程度できるようになれば、上に書いたようなことは一切不要です。長い授業も多い宿題も冗長になりますし、自分の経験から、英語やプログラミングを小学生で始める必要もないと思っています。

 

少子化のため、塾や習い事は子どもの取り合いが既に始まっており、すっかり「不安ビジネス」の様相を呈してきています。それに乗ってしまうと、あれもこれも子どもに押し付けることになってしまい、子どもはますます忙しくなり、睡眠が疎かになります。

 

そうではなくて、今は、子どもから「無駄」をとことん省いてあげることがとても大切だと思います。それができるのは、子どもを一番近くで見ている親のはずです。

 

たとえば、自分の子どもに冗長と感じる学校の宿題は、あえてサボらせたり(成績を気にしない場合)、親がヒントを与えてさっさと終わらせてあげたりすれば良いと思います。実際、我が家でもそうしています。

 

うちの小6のムスメは、中学受検を目指してZ会に入会しており、(割安な)1年契約で6年生の代金も納めてしまっているのですが、学校の事情などを考慮して、一部を除く教材には手を付けないことに決めました。子どもから「無駄」を省くための英断です。数万円を捨てることになりますが、それよりも大切なのが、子どもの時間とゆとりです。数万円のために子どもに無理強いするのは、本末転倒ですからね。

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言葉や知識をキャッチボールする

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これは大人にも言えることですが、勉強(インプット)は、アウトプットとセットになって、初めて意味を持ちます。そもそも、インプットするだけでは面白くないに決まっています。覚えた言葉や知識を使って、テストで良い点を取れたり、言葉や知識を誰かに披露したり、それが誰かの役に立ったりすることを、人は喜びます。

 

そのため、子どもが覚えた言葉や知識を吐き出せる機会が必要です。勉強できる子が「授業よりもテストの方が楽しい!」と言うのは、ある程度の点数が取れることを分かった上で、習ったことを吐き出せる「快感」を味わう機会になるからです。

 

自宅でも、習った範囲で「質問 ⇔ 回答」という言葉や知識のキャッチボールを子どもとしています。最近よかったのは、音楽(音符・休符の長さ)と算数(分数・比)の融合です。ピアノを習っているムスメが、全音符~32分音符(「付点」含む)の長さの関係が分からないというので、同じくよく理解していない算数の「比」を使って、図を描きながら「質問 ⇔ 回答」を繰り返して、最後にはどちらも理解できるようになりました。

 

言葉や知識をキャッチボールすることで、子どもは自信がついていきますし、そのようなアウトプットが勉強という行為に意味を与えます。

 

その他

その他、親のちょっとした心遣いが、子どもの「自主性」につながると感じています。

 

最初に「To Do」を言わない

学校から帰宅した子どもにいきなり「今日は塾だよ。宿題はやくね」なんて言うのはナンセンスです。子どもが欲しい言葉は、「やるべきこと」などではなく、「お腹すいたでしょ」とか「暑かったでしょ」とか、そういった共感の言葉です。学校という「やるべきこと」を終えたばかりなのに、次の「やるべきこと(特に、勉強)」を目の前に置かれてしまうと、心が休まりません。大人でもそうなのに、子どもならなおさらです。

 

最初にマイナスを見ない

宿題ノートの字が多少きたなくても、まずは宿題を終わらせたことを認め、褒めてあげます。子どもへの声掛けは「ほめる → 改善点を指摘する」の順番が絶対です。やたら欠点ばかりをあげつらう人がいますが、最初からダメ出しばかりしていては、子どもの自己肯定感が育たず、結果的に「自主性」も育ちません。

 

 

 

さいごに

すべての子どもがゆとりを持って、勉強を少しずつ好きになり、親との衝突や軋轢がなくなり、貴重な少年・少女の時間が受験勉強だけで終わってしまうことが無くなり、受験でツブれてしまう子どもがいなくなることを願います。

 

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