子どもがまだ小さかった頃、ベビーカーに乗せた状態で電車やバスなどの公共交通機関を利用する際、バリアフリーが十分に整備されていない駅や施設で四苦八苦した記憶があります。
そして、そのような経験を何度かするうちに、移動時には、エレベータが設置された駅やベビーカーの移動に苦労しない施設を自然と選ぶようになりました。
ただ、普段よく利用するエリアならこれでも良いのですが、初めて訪れる街や普段あまり利用しない路線などでは、やはり四苦八苦したことを覚えています。
こんなことを思い出したのは、ベビーカーや車椅子、松葉づえ利用者が移動しやすいルート(経路)を検索できるようになってきているからです。Google(グーグル)が提供するアプリ「Google マップ」でついに、バリアフリーの道案内が一部可能になりました。
現在のところは東京(Tokyo)、ニューヨーク(New York)、ボストン(Boston)、メキシコシティ(Mexico City)、ロンドン(London)、シドニー(Sydney)の6都市のみですが、Android版や iOS版(スマホ版)でも Web版(パソコン版)でも、すでに利用可能となっています。今後、利用可能な都市がどんどん増えていくことでしょう。
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そこで、この記事では、Web版の「Google マップ」で、ベビーカーや車椅子におススメのルートを検索する際の使い方を分かりやすく紹介していきます(Android版や iOS版も、基本は同じです)。
ベビーカーや車椅子、松葉づえの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Google マップを開く
Googleなどの検索エンジンで「Google マップ」と検索して表示されるトップのページをクリックすると、以下のような画面になります。
目的地を設定する
上の画面で、左上隅にある「青地に白色矢印」のアイコン(↓)をクリックします。
すると、移動手段のアイコン(自動車、電車、徒歩など)とともに、出発地と目的地を入力するフィールドが現れます。
ここで、「公共交通機関」を表す電車のアイコンを選択するとともに、出発地と目的地を入力すると、こんな画面になります(一例として、出発地を「新宿駅」、目的地を「新橋駅」にしました)。
地図上に経路が示されるとともに、候補となる経路が左側にいくつかリストアップされています。
オプションを設定する
ここで注目したいのは、経路リストの上にある「オプションを表示」です。この「オプションを表示」をクリックすると、「ルートのオプション」として、移動手段やルート設定条件の選択フィールドが現れます。
デフォルトでは、移動手段は未選択であり、ルートは「最適ルート」になっています。
ここで、ルートを「車椅子対応」にしてみます(移動手段は、必要に応じて選択してください)。すると、面白いことが起こります(↓)。
マップでは、「最適ルート」の場合と異なるルートが強調表示されるとともに、左側の経路リストも変更になったことが分かります。つまり、最初の「最適ルート」は、車椅子やベビーカーの移動に適していなかったわけです。
※ 「最適ルート」が車椅子などの移動にも適している場合は、当然のことながら、特に変化はありません。
あとは、「経路リスト」の中から、いずれかのルートを選択すれば、スマホ版であれば道案内(ルートガイド/ナビゲーション)が開始となります。
利用上の注意点
好きなルートを選択すると、以下のような注意事項が表示されます。
ご注意ください - 車椅子対応ルートは実際の状況を反映していない場合があります。
つまり、「車椅子対応」のルートとは言え、このルートであれば確実にバリアフリーで目的地に到達できる、ということを保証しているわけではないのです。
それは、このサービスが、Google の「ローカルガイド」という仕組みに基づいているからなのです。「ローカルガイド」とは、誰もが地域のクチコミ情報を投稿でき、投稿数などに応じて特典を用意することで、クチコミ情報の信頼性を確保したものです。
「車椅子対応」ルートは、ルート上の主要地点に関する「クチコミ情報」を参考に、その地点がベビーカーや車椅子での移動に適しているか否かを判定して提示されるものです。信頼性が高いとはいえ、あくまでも「クチコミ」情報に基づくわけですから、100%を保証できるわけではありません。
そんな理由から、上記のような注意事項が表示されています。実際の利用に際しても、提示されたルートはあくまでも「参考」であることをお忘れなく。
未来を創る
上にも書いたように、Google の「ローカルガイド」サービスでは、誰でもクチコミを投稿することができます。
あなたがベビーカーや車椅子で通過した経路上のクチコミ情報を投稿しておけば、次に困った誰かのための有用な情報になるかもしれません。
余裕があるなら、クチコミを投稿して、地図上に未来を創っていくのも悪くないですね。
まとめ
Google がサービスをリリースしたということは、その膨大な蓄積データや情報収集力から考えて、バリアフリーなルートの探索は「Google マップ」がスタンダードになっていくんじゃないでしょうかね。
日本では今のところ東京だけですが、それ以外の都市や街にも拡大されて、誰もがバリアもストレスもなく移動できるようになることを願います。