敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

自動運転 EV が普及する未来に価値のある場所は幹線道路・高速道路沿い

 

 

「自動運転」が世間を賑わしていますが、技術が進歩したからといって、その技術がすんなりと社会に受け入れられるかどうかは分かりません。自動運転のように人の命がかかっているテクノロジの場合は、普及までに幾重ものハードルがあります。

 

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自動運転の普及

上の過去記事にも書きましたが、自動運転車が普及する現実的なシナリオは、「自動車と歩行者(自転車)の分離」、「自動車と人間の協働」あたりにあると思われます。

 

自動車と歩行者(自転車)の分離

自動運転の普及に向けた最大の課題は、「機械が人を殺す」人身事故を如何に減らすか、という点にありますが、歩行者や自転車は、時に予想もつかない動きをしますし、夜間や死角のある場所では、自動車側のセンシングで歩行者や自転車を捉えられないケースも当然あります。

 

そのような状況での事故を防止するには、自動車と歩行者(自転車)とを分離するのが最も現実的と考えられます。

 

自動車と人間の協働

自動運転の導入によって、交通事故の件数は確実に減ります。ということは、その人工知能は、人間とは異なる視点で機械学習している可能性が高いわけです。つまり、人間には見えていない「安全」が見えています。

 

そのような「安全性」を人間の運転にフィードバックすることで、さらに安全な運転が可能となりそうです。

 

一方、自動車と歩行者(自転車)が共存する市街地などでは、自動運転に頼らず人間が運転する方が、人身事故が起こった場合の「責任の所在」も含めて、より現実的な答えとなる可能性が高いわけです。

 

スマートシティプロジェクト

Google と同じ企業グループに属する Sidewalk Labs という会社がカナダのトロントで進めている「Smart City」プロジェクトでも、同じような発想が浮上しています。

 

wired.jp

 

特に、都会の住民が快適な生活を送れるように、自動運転車が普及する未来に向けて、道路を含む交通環境をリデザインしよう、という考え方です。

 

実現性の可否はともかく、現在の道路状況では、自動運転車がすんなりと受け入れられない、という危機感があるのではないかと思います。

 

このような実証研究が進んだ場合も、最終的には「自動車と歩行者(自転車)の分離」が現実的なシナリオになるのではないかと予想しています。

 

電気自動車(EV)の普及

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自動車には、「自動運転」とは別の切り口も存在しています。

 

それは、駆動力をエンジン(化石燃料)に頼るのか、モータ(電気)に頼るのか、あるいは燃料電池(水素)に頼るのか、という観点です。

 

この点については、モータリゼーションが急激に進んで世界一の自動車マーケットとなっている中国が、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)を優遇する政府方針を示したことで、「モータ(電気)」が当面の主軸となり得ることがはっきりしてきました。

 

中国政府の方針に世界中の自動車メーカが追従していますので、欧州各国での EV 化路線も相まって、世界中で EV 化が加速していくのは間違いないでしょう。

 

自動運転 EV が普及する未来

自動運転には安全性の問題が残っていますし、電気自動車(EV)にはバッテリ容量(航続距離)やインフラ(充電設備)の問題が残っており、ここ2~3年で両者が急速に普及するとは考えられません。

 

ただし、10~20 年のスパンで見れば、「モータ(電気)を駆動力とする自動運転車」がモビリティの中心になっていくことは、ほぼ間違いのない未来と考えられます。

 

その未来に価値が上がる場所

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現在、幹線道路や高速道路の近くは、居住地として人気がありません。実際、幹線道路や高速道路沿いの物件は、道路から離れた物件より2~3割安いと言われています。

 

その理由は、騒音と排気ガスです。

 

しかし、やがて電気自動車(EV)が主力になると、「騒音」「排ガス」という2つの問題が一挙に解決してしまいます。騒音の原因の1つである「エンジン音」が無くなりますし、排ガスもゼロになります。

 

さらに、上に書いたようなシナリオで自動運転車が普及するとすれば、人手を介さない完全な自動運転の恩恵にあずかれるのは、自動車と歩行者(自転車)とが分離された幹線道路や高速道路のみとなります。

 

つまり、EV の普及によって「騒音」「排ガス」という問題がなくなる上に、自動運転の普及によって移動が便利になるのは、現在は敬遠されがちな幹線道路や高速道路沿いの土地や物件、ということになります。

 

 

 

まとめ

以上のような未来予想を前提とするなら、将来的には、周囲に住居が密集する鉄道の駅よりも、幹線道路や高速道路に近い居住地の人気が高まり、それに応じて地価も高くなっていくかもしれませんね。

 

また、「高齢化社会」を見据えつつも日本では失敗に終わろうとしている「コンパクトシティ」構想の対極として、都市域から離れていようとも、幹線道路や高速道路に近ければ十分に生活が成り立つ未来が待っているような気がします。

 

コンパクトシティ(英: Compact City)とは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことである。 ― Wikipedia より

 

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