季節が良くなると、たまに家族や子連れでハイキングや登山に出掛けますが、山登りで注意したいのは、ヘビやムカデ、スズメバチなどの昆虫、イノシシやクマ、サルなどの動物です。
ヘビやムカデは近づかなければ問題ありませんが、スズメバチやイノシシは向こうからもやってきますので、出会わないことを祈りつつ、出会った場合でも極力さわがず、速やかにその場を離れるようにします。
クマについては、幸い出会ったことはありませんが、「熊出没注意!」の看板が立っている山にも登りますので、自治体の「出没情報マップ」を確認してから出掛けます。本やネットの情報を徹底的にまとめてブログの記事にしてありますので、それも読み込みます。
クマと遭遇した場合は、目を離さずにゆっくりと行動するのが基本です。一方、サルと遭遇した場合は、目を合わさないように注意します。目が合った瞬間に、キバむき出しで威嚇されたことがあります。逆に覚えると大変(!)なことになりますので、子どもたちにも言い聞かせてあります。
このようなクマやサルの習性を考えていて、ふと、「人工知能(AI)との付き合い方にも通じるものがあるなぁ」と感じました。
熊と人工知能(AI)

最近、ブルドーザやショベルカーなどの建設機械の自動化の仕事に少し関わっていますが、ここでも活躍するのは、ディープラーニングなどの機械学習です。
「自動運転」と言えば、トヨタなどの車両メーカ、グーグルなどの AI プラットフォーム、NVIDIA などのチップメーカが話題をさらっていますが、乗用車の自動運転化の陰では、建設機械の自動化もかなり進んでいます。現場の技能労働者不足が非常に深刻化しており、それに対処する「省人化」が一番の目的のようです。
きっかけが何であれ、市場の競争原理がある以上、「自動化」という付加価値を提供できないメーカは淘汰されてしまいますので、神の見えざる手によって、テクノロジというのは必然的に、不可逆的に進歩していきます。
自動翻訳(機械翻訳)の分野などもそうですが、「AI に仕事を奪われる」といった恐怖感で思考停止していても、テクノロジは勝手に進んでいきますので、誰もが「AI を利用・活用する」フェーズへと速やかに移行していかなければなりません。
そのためには、さまざまな媒体を通じて、AI 技術の動向をじっくりと「目を離さず」注視する必要があります。そう、クマと遭遇した時のようにです。
猿と人工知能(AI)

自動運転や自動翻訳のように、人間の生活を便利にしたり安全にしたりする AI というのは、それで職を奪われる人を別の仕事へシフトさせたり、社会構造をリバランスさせたりする仕組みがあれば良いものだと思うのですが、AI はそのような「便利系」だけではなく、「娯楽・信用系」の産業にもますます浸透していきます。
ネットショッピング(EC)では、個人情報(属性や移動・行動・購買履歴 etc.)が分析されて「おすすめ商品(レコメンド)」が提示されるのが当たり前になっていますが、その他の動画やゲームなども含めて、インターネットというのは最早、一般消費者の時間・お金の分捕り合戦のために存在しているようなものです。
そして、そのような分捕り合戦の中で収集された個人情報が「信用スコア」となって蓄積され、信用スコアに応じて利用できるサービス/利用できないサービスが分けられるため、人々は信用スコアを高くしようとして、長い物(プラットフォーム企業)に巻かれようとしたり、忖度するようになったりします。ご存じの通り、中国が先行しています。
でも、「信用」というのは、たくさんの人がそのサービスを利用することが前提となっています。AI もまた、たくさんの人が提供するデータを学習することで成り立っています。つまり、AI ベースの信用社会というのは、1人ひとりの行動の総体として構築されていくものです。逆に、全員が「忖度」をやめれば、まったく成り立たないものと言えます。
なので、AI に信用までコントロールされたくなければ、AI がベースとなっている娯楽・信用系サービスとは「目を合わさない」ようにするのが1つの対処法かなと思います。そう、サルと遭遇した時のようにです。
なんとなく、まとめ
人工知能(AI)は未来に向かってどんどん進歩していきますが、クマと出会った時のように「凝視」することと、サルと出会った時のように「無視」することを、適当に組み合わせて付き合っていくしかないのかなと感じています。
山でクマやサルに遭遇しなくて済む AI ベースの商品なりサービスがあれば、迷わず購入しますけどね。