2020年の7月24日から8月9日まで、第32回夏季オリンピックが東京で開催されます。
オリンピックを巡っては、エンブレムや競技施設のすったもんだに始まって、その後も予算や競技会場の綱引きなどがあり、今後も開催までに数々の問題が出てくることでしょう(開催後にも問題が残るでしょう)。でも、少なくとも開催されることに間違いはありません。
そんな東京オリンピックが開催される 2020 年に向けては、「2020 年問題」なる恐ろしい問題も取りざたされています。資産価値が暴落するとか、グローバル化の波に日本が飲み込まれるとか、人工知能(AI)やロボットに仕事を奪われるとか、雇用が一気に収縮するとか。総じて、景気が悪化するということでしょうか。
確かにそうかもしれません。
2020 年というキリの良さやオリンピックというきっかけによって、いろんなものが実態以上に膨らんでいきますから、それがハジけた時の影響は計り知れません。
でも、2020 年には、オリンピック以外にもさまざまなイベントが計画されていますので、それらの変化がオリンピック後の景気を牽引してくれる、ぐらいに思っておいた方が、世の中明るくなりますよね。
景気なんて、一人ひとりのマインドの総体みたいなもんですから。
そこで、2020 年問題と併せて知っておきたい「2020 年注目のビッグイベント」を独断と偏見で以下に列挙していきます(新しい話題が登場したら、随時追加していく予定です)。
さて、あなたにはどのような未来像が見えますか?
- USJ+マリオ=SUPER NINTENDO WORLD
- シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
- 三菱スペースジェット(旧MRJ(Mitsubishi Regional Jet))
- 待機児童
- 大学入学共通テスト
- 小学校の英語授業
- 高速での隊列走行(自動運転)
- JR東海の新幹線「N700S」
- ジブリパーク
- 実物大の動く「ガンダム」
USJ+マリオ=SUPER NINTENDO WORLD
2020年、USJ(Universal Studio Japan)に、マリオを使った世界初のアトラクションが登場します。

登場するのは、地上や地下に配置された「ハテナブロック」をパンチして得られるコインの数を競ったり、数人が協力して敵キャラを倒したりするアトラクションです。また、「マリオカート」のアトラクションも登場します。カートに乗って、ゲームを再現するようなものです。そのほか、ヨッシーの背中に乗ってゲームの世界に入り込めるアトラクションも注目されています。
場所は、「ハリー・ポッター」エリアの横に建設される「SUPER NINTENDO WORLD」内で、ハリポタを上回る過去最高の600億円超の投資です。
USJ の勢いは、少なくともこの先5年は留まることがなさそうですね。このアトラクションにより創出される経済効果は、近畿圏で約6兆円,全国で約12兆円,その雇用効果は約100万人に及ぶとも言われています。
オリンピック前のオープンが予定されていますので、オリンピックと USJ をセットで訪日する外国人が爆発的に増えることは間違いないでしょう。
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が放送されたのは、もう 20 年以上も前の 1995年ですね。その後、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」が順次公開され、シリーズは一旦完結しました。
その完結から10年、リメイク版となる「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズがスタートし、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」と順に公開されてきました。
あれから時は流れ・・・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の続編として、新劇場版シリーズ4部作のラストを飾る「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が以前から予告されていましたが、ついに、2020 年公開予定であることが判明しました!
前作「Q]からは実に8年越し、新劇場版シリーズの開始(2007年)からは何と13年越しの完結です。どんな結末を迎えることになるのでしょうね。
三菱スペースジェット(旧MRJ(Mitsubishi Regional Jet))

三菱重工業や三菱商事、トヨタ自動車などが出資する三菱航空機が開発している国産初のジェット旅客機が「スペースジェット」です。2019年に、MRJ(Mitsubishi Regional Jet)から「スペースジェット」へと名称が変更されました。
当初予定していた 2013年の初号機納入から5回の延期を経て、2020年半ばにようやく、初号機が納入される予定です。
世界を見渡すと、実績十分なカナダのボンバルディア(Bombardier)やブラジルのエンブラエル(EMBRAER)、2008年の設立から急速に技術力を高めて猛追している中国商用飛機など、強力なライバルがひしめいています。
でも、オリンピックで盛り上がる日本の空には、スペースジェットが飛んでいることでしょう。
待機児童
働く女性の増加などで、全国の待機児童数は2万人を超えています。
当初は、2013年度から 50万人分の枠を整備して、2017年度末までに待機児童をゼロにする方針でしたが、想定以上に保育需要が高まっていることから、「遅くとも 2020年度末にゼロにする」方針へと変更になりました。
来年度からの3年間で受け皿を 22万人分整備し、さらに、その後の2年間で 10万人分を確保する計画となっています。
オリンピックが盛り上がる頃には、ほとんどの希望者が保育所に入れていることでしょう。
大学入学共通テスト
2021年春の大学入学者(2020年度の受験生)を対象として、国公立大学入試の大幅な改革が進んでいます。
つまり、東京オリンピックの時に高3の人(2002 ~ 2003年生まれ)が、センター試験の代わりとなる「大学入学共通テスト」を初めて受験することになります。
当初予定されていた「英語の民間試験」と「国語・数学の記述式問題」は、制度の不備を理由として、大幅に延期されることになりましたが、一連の教育改革が終焉を迎えるわけではなく、英語の「書く」「話す」や読解力を重視する傾向は、時代の流れです。
オリンピックが盛り上がっている頃、国公立大学の受験を予定している高3生、高校の先生、塾や予備校の先生たちは、新テストへの期待と不安で胸がいっぱいでしょう。
小学校の英語授業

現在は、高学年(5・6年生)で年間 35 時間、「外国語活動」が必修化されています。「聞くこと」や「話すこと」に慣れ親しませることを目的としています。
2020年度からは、これが中学年(3・4年生)に前倒しとなって、歌やゲームなどで英語に親しむようになります。
そして、高学年では、中学校以上と同様、「読むこと」や「書くこと」を含めた正式な教科となり、成績がつきます。
2020年といえば、ムスコNが3年生になります。やることが増えて勉強がイヤにならないか、少し心配です。
現在、公立学校教職員の精神疾患による病気休職者が、5000人前後(全国)で推移していると聞きます。英語の早期履修により、先生の負担もさらに増えてしまいますが、人員の確保は上手くいくのでしょうか。
また、授業数が増えて、「詰め込み」が批判された昭和 40 年代と同等の過密日程になります。授業時間を増やしただけでは学力向上を見込めないことは、もはや教育界の常識になっていたと思うのですが・・・また増えるんですね。
オリンピックが盛り上がっている頃、日本中の子どもたちが少しずつ英語ペラペラになっていきます。誰もが楽しく英語に接していたいものです。
高速での隊列走行(自動運転)
政府の未来投資戦略によれば、2020年度に、新東名高速道路において、トラックの隊列走行(自動運転)が実現されます。

(国土交通省「トラックの隊列走行について」より)
先頭のトラックはドライバが運転しますが、後続のトラックは無人です。
車車間通信、車間距離センサ(ミリ波レーダやLIDAR)、車線認識技術等を用いた実証実験を通して、2022年度には、東京~大阪間で、後続無人隊列走行の事業化が計画されています。
通信の確保や不具合時の安全対策が事業のキモですね。
オリンピックの開会宣言に合わせて隊列が走行を開始する、というシナリオが描かれているのではないかと秘かに想像しています。
JR東海の新幹線「N700S」
N700系シリーズの新型車両として、「N700S」が東海道・山陽新幹線で運転を開始します。風の流れを整え、今よりも揺れや騒音が抑えられるそうです。

ユーザ視点での主な特徴は、次の通りです。
- 停車駅に近づくと荷棚の照度アップ(忘れ物防止)
- フットレストの大型化、足元スペース15%拡大(グリーン車)
- 背もたれと座面が連動して傾くリクライニング機構(普通車)
- 普通車の全席にコンセントを装備(ひじ掛けの先端部分)
運転開始が 2020年の何月になるのかは分かりませんが、当然、東京オリンピックに間に合わせようとするでしょうから、運行実績も考慮すると、春ごろが目途になるんでしょうかね。
ジブリパーク
愛知県長久手市にある県営「愛・地球博記念公園」に、スタジオジブリのテーマパークが新たにオープンします。

現在、運動施設や庭園が広がり、万博時のパビリオン「サツキとメイの家」などが残る約 200ha の敷地を利用して、「トトロのふるさと村」(仮称)を皮切りに、複数の施設が順次開設される予定となっています。
ジブリだけに、海外からもたくさん観光客がやってきそうです。
現在、苦戦を強いられている近隣のレゴランド(LEGO LAND)にとっては、かなりの強敵が出現することになります。
※ 計画変更により、2022 年度中の開園予定となった模様です。
実物大の動く「ガンダム」
2020 年夏、「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」の一環として、横浜・山下ふ頭に実物大の動くガンダムが登場し、約1年間にわたって様々なプロジェクトが実行されます。
2009 年には、18mの実物大ガンダム立像がお台場にお目見えしましたが、今回はより多くの研究者や技術者の協力を得て、「動く」ガンダムを実現することにより、日本を、そして世界を揺るがします。
横浜市と連携する「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」プロジェクトとしても、学術研究や文化教育、観光促進などを見据えた数々の企画が準備されているようです。
2020 年、ガンダムがついに動きます。