敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

[クマ対策]山登りやハイキングの前の心と知識と荷物の準備

 

 

子どもを連れて山登りやハイキングによく出掛けます。

その際、たまに見掛けるのがこの看板。

f:id:nezujiro:20171112052148j:plain

狩猟による捕獲の減少、里山の荒廃、エサとなる木の実の不作などが原因で、近年、クマの目撃が多くなっていることは頭では分かっているのですが、実際にこの看板に出会ってしまうと、やっぱり少しドキッとしますね。その後、気を引き締めます(表情は努めて明るくね)。

 

以前、地元の 700mほどの山に登った際も、看板がありました。しかも、自分たち以外には登山客がほとんどおらず、ひっそりと静まり返り、聞こえるのは鳥の鳴き声や川のせせらぎだけ。そんな中、全員で大きな声で歌いながら進みました。こちらの存在をクマに気付いてもらうためです。声を出せば、恐怖感も少し和らぎますしね。

 

また、夏の夜間登山で、1,400mほどの山に登ったことがあります。この時も、登山口から頂上の山小屋までの7km の道のりで、出会ったのは2~3組だけ。あとは月明りと自分たちのライトだけの真っ暗闇。

 

途中、脇の草むらで「ガサガサッ」と音がしたかと思えば、シカやキツネの登場です。そのたびに子どもたちは大声を上げていました。そんな暗闇の恐怖や暑さとの闘いに勝てば、翌朝にはご来光や雲海というご褒美が待っています。自然との一体感もあり、いろんな感情が綯い交ぜの山行を経験できたと思います。

 

幸い、今までクマに遭遇したことはありませんが、上のような経験もあって、もっとクマのことを知りたいと思い、最近特に、新聞・雑誌や書籍、ネットなどでクマ情報に目を通すようになりました。

 

 

たとえばこの本。クマ研究家である著者が、明治後期以降の新聞記事を調べ上げ、クマに襲われた事例 1993件(!)から、考え得るクマ対策をまとめた一冊です。

 

記事の引用が豊富で、それに対する著者の解説も面白く(時に、仮説もあり)、読む前と比べて、「クマ」という生き物に少し近づけたような気になります。

 

その他、いろんな情報に触れて分かったことを備忘録としてまとめておきます。

 

心の準備

クマ対策に「絶対」はありません。

たとえば、鈴の音でクマの方が逃げていく、とよく言われますが、必ずしもそうではありません。手負いのクマや子連れのクマなど、神経質になっている場合や、人間を危険と認識していないクマの場合は効果がなかったり、逆に刺激になってしまうこともあるみたいです。

 

また、クマに遭遇した際、背中を見せて逃げてはダメとよく言われますが、それで逃げ切ったパターンもあるようです。

 

つまり、「これさえしておけば大丈夫」という絶対的なものはなく、その場の状況、クマの状態などに応じて、冷静に判断しなければならないわけです。

 

クマ対策を考えることは、それで「100%安全」というものではなく、「安全の確率を少しでも高くする」ことに過ぎません。

 

知識の準備

雄か雌か、大人か子どもか、季節、時間帯などによって、こちらが同じ対応をしていても、クマは襲ってきたり、逃げていったりします。

 

たとえば、6月の繁殖期、雄グマは興奮状態にあって危険です。一方、子連れの母グマは、雄グマによる子グマの共食いを避けるため、人間を含むあらゆる動物との接触を避けようとします(この場合の「子グマ」とは、1月に生まれた生後5ヶ月ほどのクマのこと)。

 

それから1ヶ月もすると、子グマに手が掛からなくなり、母グマも人間に対して攻撃的になります。

 

そして、秋。

越冬に備えた採食行動が始まると、木の実や果実を集める人間を敵とみなして襲ってくる場合があります。

 

が、晩秋になってお腹も膨れると、人間に対する興味と興奮から、抱き着いてくることもあるそうです(特に危害は加えない)。

 

その後、越冬した母子グマは、6月ごろに掛けて「親離れ訓練」を行うのですが、この時期には、子グマが非常に攻撃的で、人間を襲う可能性が高まります。母グマは、これによって、子グマの成長を確かめるのですね。

 

これらを頭に入れておくと、ある程度、クマの行動を予測できるようにはなるでしょうが、それでも、クマとの遭遇の仕方やクマの気分(?)次第では、まったく予想外の振る舞いをすることも十分に考えられます

f:id:nezujiro:20171112061130j:plain

 

 

荷物の準備

まずは、持ち物ですね。備えあれば患いなし。

  • 鈴や笛、ラジオなど、音が出るもの(リュックにくくり付けておく)
  • 爆竹(音と硝煙のにおいに効果あり)
  • ワンタッチで開く傘(あったら良いかも)
  • 熊避けスプレー(市販品)
  • 刃物(鉈(ナタ)ぐらいが丁度よいらしい)

 

熊と遭遇しないための対処

上にも書いたように、熊に遭遇してしまうと、その場の状況や熊の状態などに左右され、「運」の要素が非常に大きくなってしまいます。ですので、まずは熊との遭遇を避けるため、できる限りのことをします。

  • ネットなどで、熊の出没情報をチェックしておく(出没地を避ける)
  • 熊の好む匂いを身に付けない(化粧品、(白)ガソリンなど)
  • 明け方や夕暮れ時の入山は要注意(熊の活動が多い)
  • 緊張感を持って山に入る(ちょっとした異変にも気付きやすくなる)
  • 鈴、ラジオ、笛を持参する
  • ワイワイとにぎやかに歩く(こちらの存在を知らせるため)
  • 熊の餌となるものには近づかない(果樹、キノコ、クリ、トウモロコシなど)
  • 熊の新しい糞、足跡、熊棚などを見つけたら引き返す
  • 異変がありそうな場合には、爆竹を鳴らしてみる(音と硝煙の効果)

※ 鈴やラジオの音で異変(熊の接近)に気付かないリスクもあるため、会話したり、たまに笛を吹くぐらいが良いかもしれません(登山者の中には、鈴の音などで自然の音がかき消されてしまうことを嫌う方もいます)。

 

熊と遭遇してしまった場合の対処

運悪く熊に遭遇してしまった場合は、その遭遇の仕方や熊との距離、熊の様子などによって、対処が分かれます。

f:id:nezujiro:20171112065134j:plain

 

■ 距離が 50~100m前後で、こちらに気付いてない場合

熊の様子をうかがいながら、慌てずゆっくりとその場から離れます。その際は、熊に背中を向けることなく、ゆっくりと後ずさるように。

 

■ 距離が 20~50m前後で、こちらに気付いていそうな場合

熊の様子を注意深くうかがいつつ、近づく気配がなければ、声や音を出さずに、少しずつ後ずさりします(背中は絶対に見せない)。

 

■ 距離が 20~30m前後で、近づきつつある場合

決して慌てず、優しい声で話しかけながら、少しずつ後ずさりします(背中は絶対に見せない)。熊は、奥行き方向の動きには鈍感ですが、横方向の動きや上下の動き(身をかがめる行為など)には敏感で、攻撃を誘発してしまいます。ですので、真っ直ぐにゆっくりと後ずさりします。

 

■ 距離が 10~20m前後で、近づいてくる場合

普通の声で話しかけ、少しずつ声を大きくして熊の様子を見ます。また、手をゆっくりと上げて自分を大きく見せると、熊が立ち去ってくれる場合もあります。この時、視線を決して外さないこと(視線を外すと襲われる可能性が高くなります)。

 

いきなり背中を向けて逃げるのは、自殺行為です。そもそも、最大 60km/h で走る熊と競っても勝ち目はありません。熊は、ビックリしてパニックになると襲ってきますので、驚かさないようにするのが肝要です。熊に遭遇した時にいきなり大声を出したり、いきなり走って逃げたり、カメラのフラッシュをたいたりするのは厳禁です。

 

上の著書に、1つの対処法として、「木に化ける」という方法が紹介されています。木々の間に隠れて動きを止めると、視力の弱い熊は気付かなくなる場合があるそうです。

 

また、木に登ったら、あきらめて立ち去る場合もあるようです(熊も登ってくるかもしれないので、折れない丈夫な木を選ぶこと。また、刃物や棒などを準備しておく)。

 

■ 至近距離でバッタリと出会ってしまった場合

熊がビックリして襲ってくる可能性が高いので、その場で可能な対処をするしかありません。この場合、どのような対処が功を奏するかは、ほとんど「運」です。

 

f:id:nezujiro:20171112085938j:plain
[大声]

接近戦になった場合、大声を発すると熊が退散していった事例もいくつか紹介されており、いざとなったら大声を出すのは有効なようです。

 

[熊よけスプレー(熊撃退スプレー)]

また、熊よけスプレーも有効です。スプレーの中身は、トウガラシのカプサイシンという成分で、効果絶大です。自分が風上で熊より高い位置取りをし、熊との間に障害物が少ないほど、高い効果が得られます。

 

ただし、スプレーは、数メートルの距離に数秒間だけ噴射されるものがほとんどですので、すごい勢いで突進してくる熊との距離を見定めて使えるようになるには、それなりの経験や訓練が必要でしょう。

 

[傘]

ワンタッチ傘を開いたら、熊が驚いて逃げていったこともあるようです。もし、スプレーが間に合わない場合など、ほかに手立てがない場合は、試してみる価値がありますね。

 

[逃げる]

接近戦では、何が功を奏するか分かりません。いきなり背中を向けて逃げだしたら、それに驚いて熊が追いかけてこなかった事例も報告されています。熊は下り坂が苦手なようなので、下り坂を選んで逃げるのが良さそうです。

 

[死んだふり]

最近、「死んだふりは意味がない」というのが定説になりつつありますが、「死んだふり」で助かった事例もたくさん紹介されています。ただし、それが有効なのは、熊の攻撃性が低い場合です(それを判断するのは、なかなか難しいですが・・・)。

 

熊は、強く反撃してくる相手に対して、さらに強く攻撃を仕掛ける性質がありますので、熊の状態次第では、「死んだふり」も有効と考えられます。

 

「死んだふり」をする場合は、攻撃による被害を少しでも軽くするため、うつ伏せになって首を両手でカバーする姿勢がよく推奨されます。こうすると、攻撃に弱い体の前面や頭頚部が守られ、背中もリュックで守られます。

 

「死んだふり」をして、運よく熊が立ち去ってくれた後も、注意が必要です。熊が人間を監視していて、再攻撃を受けた事例が数多くあるからです。時間があるなら、爆竹で追い払ったり、スプレーを準備したりします。

 

[格闘]

運悪く命がけの闘いになってしまったら、鉈(ナタ)で鼻先を打撃したり、ストックなどの長物で口の中を刺す攻撃などが有効なようです(ただし、このような攻撃は、熊の猛反撃を食らう可能性もあるため、最終手段と考えた方が良さそうです)。

 

「死んだふり」をしてやり過ごすのと、死に物狂いで闘うのとで、どちらが良い結果になるかは、本当に運次第です。

 

 

その他

熊に怪我を負わされた時のために、消毒薬などの救急品や連絡手段としての携帯電話は、必ず持参します。

 

また、負傷して動けなくなる場合も考えると、複数人での入山が当然お勧めです。

 

・・・・・・・・・・

 

以上、熊対策に正解などありませんが、基本としては、緊張感を持って山に入り、まずは熊と遭遇しないようにすること。

 

そして、たとえ熊に遭遇した場合であっても、慌てず落ち着いて対処し、なんとか逃げ延びる方法を考えることです。格闘なんてのは最終手段です。

 

とは言え、実際に熊を目の前にして落ち着いていられるかどうか・・・それが一番の問題ですね。

 

 

 

++ 敏感の彼方に ++